帝京は黒星発進も、MF永田煌らが前向きな内容の戦い。“帝京らしさ”を継続し、クオリティの向上と目標達成にチャレンジ
ゲキサカ / 2024年4月9日 2時38分
[4.7 プリンスリーグ関東1部第1節 帝京高 2-4 矢板中央高 帝京科学大学千住総合グラウンド]
後半、近年の“帝京らしさ”が表現されていた。帝京高(東京)は最前線でボールを収めるFW森田晃(3年)と周囲の選手たちとの距離感が向上。注目DF田所莉旺(3年)や司令塔のMF永田煌(3年)、MF近江智哉(3年)から縦パスが次々と入り、そこから複数の選手が係わりながら、1タッチを交えた仕掛けでゴールへ迫り続けた。
永田は「(前半は)FWつけても、周りの味方が少ないから、(自分が)もうちょい高い位置で受けて、縮めてやろうかなって思っていて。後半は高い位置で受けれたんで、行けたかなと思います」と振り返る。永田自身もボールに係る回数を増加。前半に比べて一つ奥側の選手にパスを出すことを意識して、矢板中央高(栃木)を押し込んだ。
「前半はみんな、緊張してたか分からないですけど、後半は多分徐々に慣れてきて、“帝京らしい”サッカーできたかなと思います」と永田。ただし、守りを固めた相手からなかなか2点目を取れなかったことが、終盤の連続失点と敗戦に繋がってしまった。
それだけに、「やっぱり相手がブロック組んでたんで。遠目から打ったり、もうちょいFWに当てるだけじゃなくて、サイドからクロス入れてみたりとか、もちろん人数掛けて崩したりとか、もっとパターン増やしていけたらいいかなと思います」と永田は改善点を口にしていた。
プレミアリーグ初昇格を狙うチームにとっては悔しい黒星スタート。プレシーズンは練習試合でFC東京U-18や大宮U18のプレミアリーグ勢と引き分けるなど、選手たちも手応えを感じていたという。だからこそ、試合後に落胆する選手も。ただし、昨年も公式戦を経験している永田は前向きだった。
「自分は今日の負けは悪くないというか……、もちろん良くはないですけど。でも、結構(プリンスリーグ出場が)初めての人もいるし、蹴ることに徹して来る相手とやってこなかったんで、それはいい経験かなと思います」。今年はU-16日本代表歴を持つ田所やDF畑中叶空(3年)、MF砂押大翔主将(3年)、森田、この日は不在だったGK大橋藍(3年)と経験値のある選手も多い。敗れたものの、緊張もあってロングボールが増えていた前半に比べると、後半は内容が向上していたことも確か。初戦で得たことを次に活かすだけだ。
今年、名門を22年インターハイ2位やプリンスリーグ関東1部2位へ押し上げた日比威監督(現帝京総合アドバイザー)が順天堂大の新監督に転身。それに伴い、98年度選手権全国準優勝時の主将だった藤倉寛コーチが、帝京の新監督を務めている。藤倉監督は「今まで積み上げてきたもので自分たちのクオリティを上げていくだけです」と語ったように、近年、日比前監督の下で培ってきた新たな“帝京らしさ”を踏襲し、コーチ陣や選手たちとともにレベルアップしていく考えだ。
永田は「帝京としては、やっぱり守備というより攻撃の方が力入れてるんで、前線で相手を押し込んだ時にボールを上手く繋いでたりとか、『そこ割っていく?』ってところは見て欲しいです」と語る。その中で永田自身はビルドアップでの運ぶドリブルや縦パスの精度を発揮する意気込み。「中盤って帝京大事だと思うんで、自分が繋いだりとか、しっかりチームを作っていく。“帝京らしさ”は、結構パス繋ぐとかなので、そこにしっかり自分が係わっていけたらなと思います」と力を込めた。
そして、「プリンス(リーグ関東)はプレミア(リーグ)まで持ち上げて、インターハイはしっかりと出場もして優勝を目指しつつ、選手権は(09年度以来)14年出てないんで、そこの出場を目指して、優勝も狙っていきたいと思います」。全員が目の前の課題と向き合い、まずは一つ一つ内容を向上させること。そして、積み上げ続けて目標達成に繋げる。
帝京の先発メンバー
前半18分、MF安藤光大が先制ゴール
(取材・文 吉田太郎)
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