100周年の伝統校・藤枝東が示した「負けない強さ」と“大事なこと”。0-2から追いつき、PK戦を制して静岡決勝へ
ゲキサカ / 2024年5月29日 9時31分
後半の飲水タイムまで0-2のスコアは変わらず。だが、今年の藤枝東には「『負けない』みたいな安心感」(小林監督)があったのだという。そして、湯山が「全校応援で凄い観客がたくさん来てくれて、ほぼホームみたいな雰囲気をみんなが作ってくれてたんで。諦めるっていうことは絶対なかった。チームの雰囲気的には『もう、行ける』っていう感じだったんで、あそこで追いつけたのは凄く良かったと思います」と振り返るように、スタンドの応援に後押しされた藤枝東がここから2点を奪い返す。
24分、泉の縦への仕掛けから藤井が決定的なシュート。直後には左サイドへの展開から左SB逢坂峻(3年)が質の高いクロスを上げ、ファーの泉が1タッチでゴールへ押し込んだ。聖隷も元大宮MFの小阪昭典監督からプレスバックまでの運動量を求められる中で走り続ける。
後半24分、藤枝東MF泉孝太郎が追撃ゴール
そして、前線で奮闘する手塚を起点とした速攻などからクロスやシュート。だが、小林監督が「リスクが多少増えた中でも、10番(手塚)のケアとかもしっかり頑張ってくれて、強気に前がいけたのかなと思ってます」と感謝したように、藤枝東は村上やCB山本旬(2年)を中心にピンチを凌ぎ、同点ゴールに結びつけた。
CB山本旬がタックルを決めるなど藤枝東DF陣は踏ん張った
31分、再び逢坂の左クロスから中央の市川が粘り、最後はボールを拾った泉が冷静に相手を外して右足で同点ゴール。畳み掛ける藤枝東は、MF小浦京之助(3年)らが係わりながらボールを前進させ、湯山が強引にDFラインを突破する。そして、アディショナルタイムにPKを獲得したが、湯山の右足シュートはゴール左へ。2-2のまま後半を終えると、すぐにPK戦が実施された。
後半32分、藤枝東MF泉孝太郎がこの日2点目を決め、2-2に
1人目、藤枝東GK宮崎真心(2年)が先攻・聖隷のシュートを右へ跳んでストップ。だが、聖隷GK原大樹(3年)が相手の3人目を止め返す。聖隷は続く4人目がポストに当ててしまったものの、原が5人目のシュートを再びビッグセーブ。ここから10人目まで互いに決め続けたが、聖隷11人目のシュートが左ポストを叩く。直後に藤枝東GK宮崎が右足で決めて決着をつけた。
藤枝東の2年生GK宮崎真心が相手の1人目をストップ聖隷のGK原大樹が3人目を止め返す藤枝東がPK戦を制して決勝へ
藤枝東にとって、苦しい戦いだったことは間違いない。だが、小林監督は「前に向かう推進力とか、シンプルにゴールへ向かうことの大切さっていうのは相手からも凄く感じましたし、ウチも後半、そこが出せたので、『こういうことって大事だよね』っていうことを選手が痛感してくれれば、必ずパワーになるかなと思っています」と語った。今大会序盤戦はプリンスリーグよりもボールを保持できる展開。そのため、ゴールへ向かう姿勢がやや欠けていたという。だが、この日の後半、「大事なこと」を再確認。この後の試合で活かされることを指揮官は期待する。
今年、藤枝東は創立100周年。サッカーを校技とし、選手権4回、インターハイ2回、国体2回の優勝などサッカー王国を引っ張ってきた名門校にとって特別な一年だ。小林監督は、「100周年なので、多くの人がサポートしてくれるので、結果を出すっていうことは凄く重要になってくると思います。学校全体も含めていい雰囲気があるので、そういった追い風をしっかり活かして結果を出したいな 思っています」と語った。選手たちも「(結果を残す)責任がある」と語る今年。6月2日の決勝では、「負けない強さ」やこの日学んだことも発揮し、全国切符を獲得する。
(取材・文 吉田太郎)
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