“絶対王者”の敗退危機に会場騒然も…米子北が激闘制して全国へ!! 善戦の境指揮官「もっと成長できる」
ゲキサカ / 2024年6月2日 19時40分
ここから両チームに決定機が訪れる激しい展開に。21分、境は相見が抜け出してドリブルで運び、GKと1対1のチャンスを迎えたが、「やるしかないと思ったので、行き切ることを意識してスライディングした」という米子北DF藤原大空(2年)が懸命に戻り、相見のシュートコースに先回りして滑って止める見事な対応で防いだ。
ピンチをしのいだ米子北は25分、右サイドを突破した鈴木がセンタリングを送ると、MF山下一圭(2年)がゴール前で完全にフリーとなっていたが、左足シュートはクロスバーを越えてしまう。後半終了間際の35分にはエリア内のこぼれ球を鈴木が左足ボレーで狙ったが、左ポストに当たって決まらず。そのまま2-2で決着がつかず、10分ハーフの延長戦に突入した。
延長前半6分、境は左サイドを突破した相見が左足で狙ったが、ゴールに右に外れる。7分にはロングパスが相手最終ラインの背後に落ち、戻ってきた米子北の藤原が頭でGKに戻そうとしたが短く、追い抜いた相見が右足で狙ったが、間合いを詰めたGK広川に防がれた。
勝ち越しを許さなかった米子北は9分、左サイドを突破した山下が左足でセンタリングを送り、相手にクリアされて戻ってきたボールを拾うと、今度は右足でシュート。「あの場所は自分の角度。足を振ってチームを勝たせたかった」と振り返る一撃がGKの頭上を越えて逆サイドに決まり、3-2と逆転した。
延長後半は、米子北が2分過ぎからコーナーアーク付近にボールを運んでキープするなど、今度こそリードを守るべく時計の針を進めていく。境も何とかボールを奪い返し、相見のドリブル突破などでチャンスを作りかけたが、再度の同点・逆転はならず、米子北が3-2で逃げ切った。
21年度の高校選手権以来となる全国大会の予選決勝に進んだ境は、長く続いている米子北の『一強時代』に終止符を打つかと思われたが、惜しくも及ばず。序盤の失点からオウンゴールで息を吹き返し、小椋研監督が「こぼれ球や、サイドを使ってクロスで得点する形を練習してきた」という狙いどおりの形で逆転ゴールを奪って勝利に近づいた。
今年度のチームは「試合で負けたら、ここを変えようとか、自分たちで意見を言い合い、我々指導者にも提案してくることができる」(小椋監督)との特徴があるという。敗れはしたが「その意見を大事にしながらやってきて、自分たちでやる、その場で判断する、といったことを試合の中で出せたと思う」と小椋監督は語り、試合後は選手たちに「もっと成長できる。しっかり反省して、課題にして、選手権予選で勝てるようにしよう」と声を掛けたことを明かした。
米子北は冷や汗をかきながらも、何とか勝利を手にした。逆転された後にゴールをこじ開けて力のあるところを見せたが、中村真吾監督は「スキがあったんじゃないか。こういうときにプレッシャーを重く感じるのか、力に変えられるのか、というところで重く感じてしまったんだと思う」と指摘した。
インターハイは昨年度は3回戦敗退も、22年度は3位、21年度に準優勝と上位進出が多いだけに、苦戦を成長へのエネルギーに変えたいところ。中村監督は「たくさんの人に応援してもらっているので、元気や勇気を与えられる試合をしたい」と本番を見据えていた。
(取材・文 石倉利英)
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