兄は帝京長岡で選手権3位。攻撃センスの片りん見せた滝川二MF三宅蔵ノ助主将は冬の全国へ「絶対に行かないとダメ」
ゲキサカ / 2024年6月8日 9時20分
[6.7 インターハイ兵庫県予選準決勝 滝川二高 1-3 三田学園高 アスパ五色メイン]
1年生の頃から名門・滝川二高でスタメンを務めてきたのがMF三宅蔵ノ助(3年)だ。最終学年を迎えた今年はボランチの位置から攻撃のタクトを振りつつ、キャプテンとしてもチームメイトをけん引。チームにとって不可欠な存在となっている。
決勝進出をかけて三田学園高に挑んだこの日の一戦も、攻撃センスの片りんを見せた。持ち味は高いテクニックを生かした中盤からの持ち運び。「一枚剥がしてからのスルーパスは常に狙っている」と胸を張る通り、ゴールに直結するパスも特徴でプリンスリーグ関西2部の舞台でも攻撃の担い手として奮闘を続けてきた。
そうしたゲームメーカーとしての役割とともに目を惹いたのはゴールへの積極性だ。「打たないと(点が)入らないので積極的にシュートを打とうと思っていた」と振り返る通り、機を見て前方に飛び出した三宅は、前半9分に中盤で奪ったボールを受けるとミドルシュート。以降も前方に預けてから、自身もゴール前に顔を出すなど得点を狙ったが、1点は奪えない。
1点ビハインドで迎えた後半は「負けていたので、リスクは承知でゴールに向かおうと思っていた」。キックオフのボールを素早く前方に展開すると、最後はMF横田圭佑(3年)が決めて同点に持ち込んだ。
追い付いた勢いで、一気に攻撃のギアを入れたい滝川二だったが、ここからが続かない。「(小森康宏)監督に言われたのですが、繋ぐだけになっていた。もっとみんなでゴールを目指さないといけない。裏への動き出しを増やしても良かった。日々の練習から変えていかないといけない」。そう振り返る三宅は11分にMF松元大智(3年)とスイッチして、右に展開。MF村松風亜(3年)のシュートを引き出したが、2点目は生まれない。滝川二は後半4分と29分に三田学園にゴールを許し、1-3で敗れた。
試合後、三宅は「先制点を取られたものの、良い時間帯に返すことができたのは良かった。ただ、気の緩みがあって、2点目、3点目を取られたので悔しい。ここからチームを立て直して、選手権、プリンスに向けてまた頑張っていきたい」と口にした。
3歳上の兄は帝京長岡高の一員として、選手権4強を経験しているMF三宅凌太郎(現関西学院大)。本職のボランチだけでなく、CBやFWもこなすユーティリティーさとクレバーなプレーが売りだった兄とはプレースタイルは違う。ただ、兄弟を知る人たちから、よく比べられるといい、「三宅家としては嬉しい」と口にする。
蔵ノ助が中学生の頃、凌太郎は新潟で寮生活を送っていた。凌太郎が関西学院大への進学で地元である兵庫県に戻ってきてからは蔵ノ助が滝川二の寮に入ったため、一緒に過ごす時間はほとんどない。ただ、大舞台でも臆することなく自らのプレーを示してきた兄は格好のお手本と言えるだろう。
昨年のインターハイ予選も準決勝で敗退。滝川二は選手権で日本一の経験も持っているが、三宅が入学してからは一度も全国大会までたどり着けていない。「昨年もここで敗れた。何が足りなかったかは分かっていない。分かったら決勝に行けると思うので、これから見つけていきたい」。悔しさを滲ませた三宅はこう続ける。「まだ自分たちは1度も全国行けていない。絶対に行かないとダメなので、選手権に向けてまたみんなでチームを作っていきたい」。名門復活の鍵を握る男は、冬こそチームにタイトルをもたらし、主役の座をつかみ取るつもりだ。
(取材・文 森田将義)
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