[MOM4735]興國DF久松大燿(3年)_“代役”以上の存在感示した背番号10…目標の海外進出に向け、まずは全国での躍動誓う
ゲキサカ / 2024年6月9日 10時7分
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.8 インターハイ大阪府予選準決勝 関大一高 1-3 興國高 J-GREEN堺S1]
今年に入ってから定位置を掴んだ右SBのDF松岡敏也(2年)が中央トーナメント2回戦の常翔学園戦で負傷し、戦線離脱。代役を担ったのは本来、一列前のウイングとしてプレーする背番号10番の興國高DF久松大燿(3年)だった。
父は智弁和歌山高の一員として甲子園に出場した元・高校球児。母はハンドボールの経験者。陸上に励む3歳下の妹も奈良県では名の知れた選手というスポーツ一家で育ち、久松自身も身体能力が高い。一瞬でグッと上がるスピードと躍動感溢れる仕掛けが買われ、1年生の頃から度々、右SBとして起用されてきた。
3年生になってからはウイングでのプレーが続いていたが、「練習で一度、右SBとして使ってみたら思ったよりも面白かった。プレーの幅を広げようと考えた時に良いオプションだと思った」(六車拓也監督)ため、準々決勝の金光大阪戦から、松岡の代役としてポジションを下げることになったという。
守備的なポジションでプレーするからといって、思考やプレースタイルを変えるつもりはなかった。「SBはいつもより低い位置なので、前向きでボールを受けることが多い」と口にする通り、持ち味が生かしやすいポジションでもある。「攻撃的に行こうと意識していた」と話す久松は立ち上がりから積極的に右サイドを攻撃参加していく。
最初の見せ場は前半11分だった。ハーフウェーラインの右から中央にドリブルで入ると、前線のFW芋縄叶翔(2年)にクサビを展開。貰いなおしからミドルシュートを放ったが、左ポストに阻まれ、得点には至らない。
後半立ち上がりの失点により、その後はより攻撃参加の回数を増やしていく。歓喜を呼び込んだのは13分。中央で競り合ったこぼれ球を右サイド高い位置で拾うとそのまま縦を突破し、クロス。「思ったよりフワリと上がってしまった」と振り返るボールが、芋縄のヘディンシュートを呼び込み、同点ゴールが生まれた。試合は延長戦までもつれたが、最後まで右サイドを駆け上がり、チームに活力を加えた久松の貢献度は大きかった。
一昨年、U-16日本代表候補にも選ばれた久松が目指すのは高卒での海外進出だ。今年2月には鳥栖U-18出身のFW二田理央がプレーするオーストリア2部のザンクト・ペルテンのセカンドチームに1か月間練習参加。「日本だと組織的に守備をするのが普通だと思うのですが、あっちはボールに全部チャレンジしてアタックする。強度の部分で違いを感じたのですが、上手さや柔らかさでは通用した」。同時に身体能力が高い選手が多い中でもアジリティの部分は手応えを感じたという。
「僕らが選手に伝えて変化させるのは限界があって、やっぱり経験に勝るものはない。オーストリアに行ってから、自己主張が強くなった。凄く良いことだと思う」。指揮官の言葉通り、海外での経験によってメンタル面での変化も見られる。残り半年ほどとなった高校サッカーのステージで圧倒的なプレーを示して、海外進出をつかみ取るつもりだ。
全国の猛者たちと対峙するインターハイは試金石と言える舞台。「チームとしてインターハイに行くのは初めてなので、興國高校のサッカーをみんなに見てもらいたい。見ている人に勇気を与えたいけど、一番は自分自身が楽しみたい」。そう語ったように、大舞台でも右サイドで躍動し続ける。
(取材・文 森田将義)
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