[MOM4747]駒澤大高FW岸本空(3年)_みんなが待っていたストライカーの覚醒。途中出場から土壇場での決勝点でチームを全国に導く!
ゲキサカ / 2024年6月17日 12時45分
試合も終盤に差し掛かっていた37分。駒澤大高は左サイドでFKを得る。キッカーのMF矢島礼偉(3年)が蹴り込んだボールはファーへ届くと、岸本はゴール前の状況を冷静に見極める。「相手のセンターバックの2人は結構身長が大きくて、普通に競っても勝てるかもしれないですけど、そんなに良い状態でヘディングはできないと思ったので、折り返した時に相手の背後を取って、視野から外れるように動きました」。
FW岩井優太(2年)の折り返しが、目の前に飛んでくる。夢中で頭に当てたボールがゴールネットを揺らしたのを確認すると、気付けば仲間が待つピッチサイドへと全速力で走り出していた。
「自分たちは『全員で勝つ』ということを掲げていて、どんな形で出てもそれぞれの選手が最高の準備をしてきてくれていると思うので、スタートでは出ていなかった空も、良い準備をしてくれたからこそ、最後に決められたのかなと思っています」(MF寺尾帆高)「空とは仲が良いんですけど、ここまで全然ゴールを決められなかったのに、今日はきっちり決めてくれたので、自分は信じていましたし、やっぱり最後に空がやってくれたなと」(DF嶋田結)「『ここで爆発させて来い』ということで岸本を送り出して、気合は入っていたと思うので、やってくれてメチャメチャ嬉しいです。このレベルになってくると3年生の力が必要だなということは改めて感じました」(亀田雄人監督)。
みんなが待ち望んでいた、岸本の覚醒。「折り返して来たボールを意地でもねじ込んでやろうという気持ちが強かったです。みんなのおかげですね」。悩める3年生ストライカーの決勝ゴールで、駒澤大高は2014年以来となる、9大会ぶりの夏の全国大会出場を勝ち獲る結果となった。
自分の特徴と課題はしっかりと把握している。「今日の試合でも出せましたけど、ヘディングは持ち味にしていますし、相手が自分より大きかったとしても、タイミングが合えば勝てると思います。あとはフィジカルを生かして、無理やりにでもターンして、シュートを打つのも持ち味なのかなと思います」。
「去年は筋トレをメチャメチャしていました。もともと身体は大きい方だったんですけど、自分の長所を磨くという中で、もっと筋肉を付けなくてはなと。ただ、アジリティとかスピードは全然ないので(笑)、そこをもっと磨いていければなと思います」。
自分たちの力で掴んだ全国大会。岸本も晴れの舞台へ想いを馳せる。「全国だともっと暑くなったり、タフなゲームが多くなってきますし、相手もより強くなってくる中で、1つの隙でもやられると思うので、今以上にもっと課題を改善していって、最高のコンディションで臨みたいと思います」。
置かれた立場がスタメンでも、ベンチからでも、やるべきことは変わらない。与えられた時間で全力を尽くし、誰よりも身体を張り、勝利に結び付くゴールを奪う。愚直に戦う献身のストライカー。きっと真夏のインターハイのピッチでも、岸本の力が必要とされる時は、必ずやってくる。
(取材・文 土屋雅史)
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