[MOM4752]市立船橋FW伊丹俊元(3年)_得点感覚、覚醒中。インハイ予選決勝とプレミアで最強のライバル・流経大柏相手に“2週連発”!
ゲキサカ / 2024年6月24日 22時0分
18分。右サイドでDF井上千陽(3年)がボールを持つと、2人のイメージは共有される。「千陽とはいつも自主練をしていて、『あそこに1本来るな』とわかっていましたし、あのポイントにしっかり入って、あとは来たボールを頭に当てるだけだったので、練習通りという感じでした」。伊丹がスタンディングジャンプで叩いたボールは、右スミのゴールネットへ飛び込んでいく。
「『伊丹に入れたら何とかしてくれる』ということは関係性としてあったので、伊丹を信じて、中に入れました。いつも自主練で僕のクロスにマンツーマンみたいな感じでずっと中にいてくれるので、練習の成果が出て良かったなと思います」(井上)「もう千陽との練習のおかげでああいう動きが染みついていたので、うまくポジションが取れました」(伊丹)。とうとう飛び出した9番の今季プレミア初ゴール。スコアは振り出しに引き戻される。
試合の結果は1-1のドロー決着。「結構押し込まれる時間が多くなって、先制点も獲られたんですけど、全然慌てることなく1点返せたのは良かったですし、プレミアではまだ無得点だったので、そこで獲れたのも良かったと思います」という伊丹が流経大柏からもぎ取った“2週連発”となる一撃で、市立船橋は勝ち点1を手繰り寄せた。
中学時代は鹿島アントラーズつくばジュニアユースでプレーしていた伊丹は、太田隼剛(桐蔭横浜大)と佐藤凛音(法政大)といった“先輩”に憧れて市立船橋の門を叩いたが、実はこの日の対戦相手とも浅からぬ縁があるという。
「自分の家からは流経の方が近いので、その選択肢もあったんですけど、流経と市船の両方に練習参加してみて、市船に来ました。やっぱり流経は良いライバルだと感じていますね」。自分が行くかもしれなかった相手と千葉ファイナルやプレミアの舞台で対峙して、ゴールまで奪ってしまうのだから、サッカーは本当にわからない。
意識している“同級生”へのライバル心も語り落とせない。中学時代にチームメイトとして切磋琢磨してきた鹿島アントラーズユースのFW徳田誉は、既にトップチーム昇格が内定。この日の前日にはプレミア初出場初得点をマークして、チームの勝利に貢献していた。
「昨日もプレミアでゴールを決めていましたし、負けていられないですね。元チームメイトとして、一緒に得点王争いができるくらい食らい付いていきたいですし、後期のアントラーズ戦は自分が決めて勝ちたいと思っています」。前半戦の鹿島ユース戦はケガで欠場しているだけに、9月に組まれている“古巣対決”に並々ならぬ覚悟で臨むことは想像に難くない。
ようやくゴールが付いてきた。ここからはより重要な試合ばかりが続く。伊丹は確かな決意を力強く口にする。「目指しているのはインターハイと選手権の全国制覇なので、そこに向けてチームの底上げをして、個人としても結果を出せる年にしたいです。まずは次の横浜FC戦に勝って、その次も勝って、良い流れの中でインターハイに行きたいと思っています」。
青いユニフォーム。ストライカー。左利き。本人も自身の特徴に「パワフルなプレーと泥臭く点を決める力」を挙げるあたりも含めて、元イタリア代表のクリスティアン・ビエリを彷彿とさせるような、市立船橋が誇るナンバー9。伊丹俊元の得点感覚、依然として覚醒中。
(取材・文 土屋雅史)
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