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9連戦中に川村・野津田が移籍…ボランチ経験も重ねた広島23歳MF東俊希「次は僕が背負っていかないといけないという責任感が生まれた1か月だった」

ゲキサカ / 2024年6月30日 13時42分

サンフレッチェ広島MF東俊希

[6.29 J1第21節 川崎F 1-1 広島 U等々力]

 サンフレッチェ広島MF東俊希は今季、絶対的な左ウイングバックとして君臨してきたが、直近2試合はボランチでの先発出場が続いた。開幕節から天皇杯1試合を除き全試合出場が続く23歳は「左サイドのほうが自分のプレーは出せる」と現状を見つめつつも、「あそこでやることによって成長できると思う」と他ポジションでの経験をレベルアップにつなげていく構えだ。

 東のボランチ起用はMF川村拓夢がザルツブルク、MF野津田岳人がパトゥム・ユナイテッドに移籍したことを受けてのアイデアとみられ、川村が不在だった第11〜12節やルヴァン杯でも同ポジションで先発。プレー面では「拓夢くんを意識することはない」というが、マンツーマンの強度や精度と飛距離を兼ね備えたキックは共通するものがある。

 もっとも広島は今月1日のJ1第17節・磐田戦以降、リーグ戦とカップ戦による週2試合の連戦が続いており、その最中で川村と野津田が移籍したため、ボランチ起用は“ぶっつけ本番”。それでも「4バックの相手に対してトップ下にマンツーマンでついて(CBの)中野と2人で見る」という役割において成長も実感できているという。

「最初のほうはマンツーマンを意識しすぎて真ん中を空けることがあったけど、ボールの位置や相手が蹴れないタイミングではマークを受け渡して、真ん中に位置取ってバランスを取ることだったり、いろんなことを考えながらプレーできるようになってきた」

 この日は前半23分の失点後から左ウイングバックに移り、本職のポジションに復帰。ボランチではMF満田誠が一定の存在感を見せ、後半からはMF中島洋太朗も長いプレータイムを与えられたほか、ミヒャエル・スキッベ監督はDF荒木隼人の復帰によるDF塩谷司の中盤起用も示唆するなど、今後は再び本職でのプレーが多くなるとみられる。

 それでもマンツーマン志向の強い広島では、異なるポジションの役割を理解することも重要であることから、中央でのプレービジョンを描いた経験は今後のパフォーマンスにもつながるはず。また、そうした起用を経験したこの厳しい1か月間は、東にとってメンタル面での変化も芽生えるターニングポイントとなっていたという。

「これまで広島を背負ってきた人たちが抜けて、次は僕が背負っていかないといけないという責任感が生まれた1か月だった。責任感を持つことでプレーも良くなる感覚はあったので、そういう気持ちをこのまま継続しつつ、あとはもっともっと数字にこだわらないといけない。得点が出ていないので、もっと上げていかないといけない」

 今季4アシストはチームトップの数字だが、ゴール前に飛び込む機会もある中でいまだノーゴールという結果には満足していない様子。慣れ親しんだ左ウイングバックでも成長意欲は高い。

「相手が引いてブロックを敷かれた時、簡単にクロスを上げさせられているという感覚の時に良くないと感じていて、ちゃんと自分のタイミングで味方と合わせてボールを蹴れた時は良い。そこは自分のところでボールを持ちながらも、動き続けることで相手の陣形が崩れるので、パスを出してそのまま前に走っていったり、そういうコンビネーションをチームとして作り上げていけたらと思います」。ようやく訪れた1週間の準備期間を経て、さらなる飛躍につなげていく構えだ。

(取材・文 竹内達也)
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