[MOM4754]帝京MF砂押大翔(3年)_左利きのボランチがゲームコントロール。名門のリーダーはU-23代表主将を参考に
ゲキサカ / 2024年7月1日 4時20分
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.29 プリンスリーグ関東1部第8節 帝京高 5-1 栃木U-18 帝京科学大学千住総合G]
主将を務める新シーズンは怪我で出遅れてスタート。「相当、焦りました」というが、帝京高(東京)のMF砂押大翔(3年=鹿島アントラーズノルテジュニアユース出身)が復調し、チーム内での存在感を高めている。
栃木U-18戦は「自分たち、(6月の)インターハイで少しビルドアップの部分で上手くいかなかったところがあったので、ボランチとボランチの距離感や、トップ下と繋がるっていうところを意識して今日はできたのかなと」と振り返る。
ボールを保持しながら主導権を握るチームの中で、左利きのボランチは周囲の選手との距離感を大事にしながら、一際多くボールに触れてゲームコントロール。ビルドアップに係わり続け、特に後半はチーム全体を繋げて攻撃を好転させ、“帝京らしい”パスワークを引き出した。
その上で、「今年、やっぱり自分自身は結果にこだわっていきたい」と語る砂押は前半に右サイドからのスルーパスで決定機を演出。1-1の後半19分にはダブルボランチを組むMF近江智哉(3年)からパスを受けると、得意の左足で左サイドへサイドチェンジを通す。
ここから勝ち越し点が生まれ、その後、帝京は3点を追加。主将は以前、苦手だったという守備でも「ボランチなら引っ張っていかないといけない。絶対かわされないっていう、ほんと守備は気持ちだと思う」とひたむきに自分の役割を全うしていた。後半アディショナルタイムまでプレー。ベンチからも評価されるパフォーマンスで快勝に貢献した。
砂押は、今季開幕直前の3月に鼻骨骨折。約1か月間の離脱後に復帰したものの、試合勘を取り戻すのに苦労した。プリンスリーグ序盤はベンチスタート。下級生時から公式戦を経験してきたMFは、ピッチ内外でチームの先頭に立つ意気込みだったが、なかなか表現することができなかった。それでも、インターハイ予選前に行われた練習試合での一つのプレーをきっかけに、変わることができたという。
「悪い時は自分の中でマインド、心がネガティブになったりしてしまっていた。練習試合で一回、いいサイドチェンジがあって、そこから自分の心がちょっと変わって。その一回のプレーで少しポジティブになってから、徐々にコンディション上げれたのかなと思います」
この日はプレーだけでなく、個性派の多いチームが雰囲気良く戦うための声がけも継続。「味方に対しても強く言ってくれる人がいるので、自分は強く言うのじゃなくて、優しく、慰めるような、いい雰囲気で自分やりたいので。(加えて主将として心がけていることは、)練習でもやっぱり一番早くグラウンド出ることとか、そういう細かいことを意識して、みんな引っ張っていけるようには意識しています」。その主将が参考にしている選手はU-23日本代表主将のMF藤田譲瑠チマ(シントトロイデン)だ。
「U-23(日本代表)で見ていて、チーム引っ張っていく姿のあるべき存在だと思ってるし、攻守において結果も残してますし、ほんとに自分が今、参考にするべき選手だなと」。メンタル面が課題と自己分析する砂押は、ミスを引きずってしまう部分もあったという。だが、マインドを変えるために本を読んだりすることで徐々に変化。これからさらに波を少なくしていく考えだ。安定したゲームメークに加え、ゴール、アシストでも勝利に貢献すること。そして、目標とする藤田のようなリーダー、ボランチになって名門に全国タイトルをもたらす。
(取材・文 吉田太郎)
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