悪い流れの中でPKセーブ。ベンチでも前向きに成長してきた帝京GK大橋藍が目標の「チームを救えるセーブ」
ゲキサカ / 2024年7月1日 19時8分
[6.29 プリンスリーグ関東1部第8節 帝京高 5-1 栃木U-18 帝京科学大学千住総合G]
帝京高(東京)の守護神、GK大橋藍(3年=FC東京U-15深川出身)が、目標の「チームを救えるセーブ」をしてのけた。1-0の前半24分、帝京はPKを与えたが、コースを読み切った大橋が右へ跳んで完璧なセーブ。流れの悪い時間帯での失点を阻止した。
大橋は昨年、試合中のPKキッカーとしてプリンスリーグ関東1部や選手権予選でゴール。守る方も苦手ではないというが、インターハイ予選時に行っていたというPK練習ではあまり止められず、プラスのイメージを持てていた訳では無い。
だが、「(今回のPKのシーンで)意外とみんな『止めるっしょ』、っていう雰囲気出してきたんで。(田所)莉旺もこぼれ、セカンドボールのことについて話していたので『止めなきゃな』って。相手の助走を見て、変にそのタイミングずらしてきたんで最後まで耐えて、跳んだ方にたまたま来た」とビッグセーブ。そして、「その後も(味方の)セカンド速く、こぼれ球すぐクリアしてくれたんで、もう感謝です。(個人としても)これまでチーム救ってなくて、やっと、きょう救えたのが良かった」と喜んだ。
リズムの悪かった時間帯で失点を阻止
帝京はプリンスリーグ関東1部、インターハイ予選と失点が続いていた。この日は相手のスーパーミドルで1失点したものの、それを除くと落ち着いた守備。後半には相手の無回転気味のミドルを冷静にはじき出すなど得点を許さなかった。前節・浦和ユース戦の1-0勝利に続き、守りで勝利に貢献した。
1年時に帝京はインターハイで準優勝し、プリンスリーグ関東1部で2位。昨年もプリンスリーグ関東1部で4位に食い込んだ。大橋は1年時からベンチ入りし、昨年も公式戦を経験。入学当初から高い評価を得ていたが、1学年上のGK川瀬隼慎(現城西大)の壁は厚く、正守護神に定着することはできなかった。
「1年生から自分は本気でスタメン取ろうと思っていた」が、それができなくてベンチにいる時も成長できたと考えている。前向きな心構えでいられたのは、中学時代の経験が大きかったという。
大橋はFC東京U-15深川出身。「中学生の時に自分最初出てたんですけど、 中3になってから出れなくなって、その時に(ポジションを奪われた相手が)GK後藤亘(現FC東京U-18)っていう代表の子だったんですけど、それで結構現実を見れたというか、ベンチとかの(振る舞いや)声掛けとかで、自分的に変われた」。後藤は昨年のU-17ワールドカップで活躍し、FC東京トップチーム昇格を決めている守護神。「その経験があったからこそ、ベンチで腐らずできた。自分の中ではホントにデカいです」という大橋は、高校でも控えの立場を受け入れて努力を重ねることができた。
変われたことは、他にもある。以前は味方への声がけが感情的になったり、指摘ばかりが続いたりしていた。フィールドの先輩に指摘されると、反発したところもあったという。だが、「結局、良い声出した方が結果も良くなった。言う時と、言わない時というか、気付かせる時を柔軟に(使い分けて)。成長できたなっていう感じです」。栃木U-18戦の後半も前向きな言葉を掛け続けている姿が印象的だった。
身長は178cm。「デカい選手を見るといいな」と思っていることを明かすが、全国トップクラスのGKであることを証明するチャンスはある。強豪との対戦が続くプリンスリーグ関東1部やインターハイでチームの勝利のため、評価を上げるためにも「頑張りたい」。セービングに加えてキックにも注目。より守備範囲などを向上させて「チームを救えるセーブ」で強敵を封じ込む。
(取材・文 吉田太郎)
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