[関東2部]“腕章”に悩み奮起する法政大MF中川敦瑛、柏と契約した決め手は“雰囲気”と“合致した特徴”

腕章を巻くMF中川敦瑛(4年=横浜FCユース/柏内定)

[7.21 関東大学L2部第11節 産業能率大 3-0 法政大 産能大第二G]

　MF中川敦瑛(4年=横浜FCユース/柏内定)は今シーズン、法政大でゲームキャプテンを務めている。1年での1部復帰を目指す中、新たな役割に難しさを感じながらも前半戦を駆け抜けた。

　法政大は昨季の関東大学リーグ1部を最下位で終え、10年ぶりに2部で戦うことが決定。2部優勝をミッションに掲げ、主将はMF揖斐俊斗(4年=柏U-18)、副将は中川ら3人が務めることになった。ただ、従来は主将が試合で腕章を巻いていた一方、今季は「プレーでチームを引っ張ってほしい」というスタッフ陣の考えなどでゲームキャプテンを新設。攻撃を牽引し、全日本大学選抜メンバーでもある中川がその役割を担う形となった。

　しかし、主な役職がなかった昨季との違いに苦しんだ。昇格を使命とするチームの腕章は重く、責任感からかえって昨季よりも消極的なプレーをするようになってしまったという。中川は「本来の力を発揮できていない。ゲームキャプテンという立場でミスをすると言われるので、ミスが怖いというか、強引さが無くなった」と自身の序盤戦を総括した。チームも6節を終えて1勝1分4敗と低迷を繰り返した。

　それでも中川は、各大学有力選手が集う2月のデンソーカップチャレンジサッカーでの活躍を挙げながら、「デンチャレMVPというのが無駄になってしまう」と奮起。武器とする推進力や積極性を取り戻しつつあるといい、その言葉通り第8節から第10節までの3試合で2ゴール2アシストと結果を残して4連勝を導いた。一時3部降格圏だった法政大は首位と5ポイント差の6位まで浮上し、シーズンを折り返している。

　チームが調子を取り戻しつつある6月下旬には、中川の来季柏レイソル加入内定が発表された。複数クラブからオファーを受けたが、「ベテランの選手が積極的に話しかけてくれたり、練習生という立場でもスタッフがしっかり見てくれてアドバイスをしてもらったり」と柏の雰囲気に魅力を感じたという。加えて自身の特徴である「相手選手の間でボールを受けること」がチームとして求めている点でもあったため、「うまくフィットしていけばチームに少しでも貢献できる」と考え、柏との契約を決断した。

　また、柏には同学年のDF関根大輝(拓殖大→)が所属している。関根はパリ五輪メンバー入りを目指すため1年前倒しでプロ契約を結び、有言実行。中川は練習参加時に「物怖じせず堂々とプレーしていて、ミスを恐れずに、かつ自分の良さを出している。同い年だけど見習わないといけない」と成長ぶりを体感した。今月には中川の特別指定登録が完了し、Jリーグへの出場が可能に。具体的な予定は決まっていないものの「チャンスを掴んで試合に出て成長し、それを法政に還元できれば」と柏の活動に参加する意欲を示した。

　それと同時に法政大を1部に戻す責任感は増すばかりだ。3得点2アシストに終わったリーグ前半戦は「平さん(井上平監督)の期待に応えられていない」とし、さらなる活躍を誓う。21日の前半戦ラストマッチは0-3で敗れたため、上位陣に踏みとどまれるかの正念場。最上級生同士で固くまとまる大切さを共有しているといい、「後輩たちは1部で戦う力を持っている選手ばかり。少しでも良い環境を提供できるように、自分たちは残り半分、死ぬ気でやりたい」と覚悟を示した。

(取材・文　加藤直岐)
●第98回関東大学リーグ特集