[MOM4782]帝京MF砂押大翔(3年)_「そこは絶対に負けてはいけない」…持ち味の守備力を発揮して完封へと導いた主将
ゲキサカ / 2024年7月27日 20時24分
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.27 総体1回戦 神戸弘陵高 0-1 帝京高 JヴィレッジP7]
「茨城県のひたちなか市が地元で、1時間半ぐらいあればJ(ヴィレッジ)まで来ることができる。明日は弟も来てくれるらしいので、弟に見てもらうためにもいつもより強い気持ちで頑張りました」。そう笑みを浮かべるのは、帝京高のキャプテンを務めるMF砂押大翔(3年=鹿島アントラーズノルテジュニアユース)。帝京らしいパス回しが披露できず、思い通りとはいえない試合展開の中でも、持ち味である高い守備力を発揮し、勝利に貢献した。
2回戦進出に喜びの表情を見せつつも、試合内容には満足していない。「自分たちの時間が作れなかった。ボールを保持して、前に圧力をかけるのが自分たちのサッカーだと思うのですが、前半は思うようにできなかった」。そう振り返る通り、前半は初戦の硬さもあって帝京は相手のプレスに対して数的優位が作れず、パスが思い通りに繋げない。相手ボールの時間が続く中で、砂押は守備で対抗。相手に抜かれそうになってもスライディングで止めるなど、上手く行かない中でも何とか流れを引き寄せようと奮闘を続ける。
「ハーフタイムにみんなで意見をぶつけ合ったことが後半に良い形になって表れた」。砂押の言葉通り、エンドが変わった後半は攻撃に出る時間がわずかながらも増えたことで後半4分にゴール。この1点をチーム全員で守り切り、勝利を引き寄せた。
「自分は球際やインターセプトを武器にしているので、そこは絶対に負けてはいけない」と口にし、守備に自信を覗かせるが、高校に入学した当初はパサータイプのトップ下。高校1年生の夏にボランチにコンバートされてから、守備を意識し始めた。練習では1対1を意識的に取り組み、ポゼッション形式のトレーニングで誰よりも球際で強く行き続けた結果、今のプレースタイルにたどり着いた。キャプテンを務める今年は心身ともにチームに欠かせない選手となっている。
砂押に対するチーム内での評価は高く、準優勝した2年前のインターハイはバックアップメンバーとして帯同。決勝の結果こそ、後半終了間際の失点による0-1だったが、「完敗というぐらいの負け方をした。見ていた自分たちも悔しかった」(砂押)。出番を増やした昨年は先輩たちを超える日本一を目指したが、夏冬ともに全国大会までたどり着けなかった。
迎えた最終学年の今年は「昨年を上回る努力量と全員の気持ちの強さを意識してきた」という。練習の合間に水を飲み行く際も歩くのではなく、走る。練習中も選手同士で意見をぶつけ合う。限られた練習時間の中でもできる限りの工夫をしてきたことで、強度の高さと良い雰囲気を作ってきた。そうした取り組みの成果が、粘り強く勝利を引き寄せたこの日の試合展開になったのは間違いない。
「70分あったら絶対苦しい時間はあると思うので、そうした時に今日の神戸弘陵戦を思い出したい。『全員でここから立て直せるぞ』という自信に繋がりました」。そう話す通り、初戦の勝利は日本一までの残り5試合で、心の拠り所になるだろう。
(取材・文 森田将義)
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