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苦闘も怖気づかず、「後悔」しないように特長も発揮。無名のDF咲本大(近大附)が“デビュー戦”でU-17日本代表の勝利に貢献

ゲキサカ / 2024年8月11日 10時44分

U-17日本代表の左SB咲本大(近大附高)は運ぶドリブルや対人守備の強さを発揮。2-0の勝利に貢献した

[8.10 Balcom BMW CUP第2節 広島県高校選抜U-18 0-2 U-17日本代表 サンフレッチェビレッジ広島第一球技場]

「怖気づかずにっていうか、『ここで何かやらないと後悔するな』みたいな。そんな感じでやっていました」

 U-17日本代表の左SBを務めたDF咲本大(近大附高)は、広島県高校選抜U-18戦が“代表デビュー戦”。前半途中まではビルドアップ、守備対応ともにややバタつくところがあったが、「前半の最後らへんから プレスが来なかったんで、僕のとこで1個運んでっていう冷静な判断はできたと思います」。前半終盤、そして後半と相手のマークを冷静に剥がしてビルドアップ。また、攻め上がりから巧みな切り返しでタックルをかわし、パスを繋ぐシーンもあった。加えて、“初見殺し”と自負する守備面では、後手を踏みかけても突破を許さない。

「1対1に抜かれないとか、(少し不思議な)1対1の強さがあります」と朝岡隆蔵監督が分析し、咲本は「僕のいいとこなんで、それは絶対やられたらあかんと思うんで」と頷いていた。182cmの高さは活かし切れなかったものの、試合終盤はCBも務めて2-0で勝利。“代表デビュー戦”を無失点で終えた。

 咲本は大阪狭山SC時代に大阪府トレセンを経験し、近大附では1年生から主に3バックの左や左WBでレギュラー。長身に加え、ボールを運ぶ力や正確なキックも特長とする大器だが、インターハイや選手権、国体も経験しておらず、全国的にはまだまだ無名の存在だ。だが、着実に関係者の評価を高めてきたDFは今回、寺師悠斗監督ら近大附のチームスタッフ、本人も驚く初代表選出。合宿初日は「全然自分を出せなかった」と振り返るものの、その後の練習試合から徐々に自分の特長や声を出せるようになった。

 そして、この日は年上との真剣勝負で怖気づくことなく、特長も表現して勝利。「自分が(U-17日本代表に)入ったって聞くまではマジで現実味なさすぎて。代表っていうのがマジで夢のまた夢みたいな、そんな感じだったんですけど、いざ、やるってなるとやっぱ後悔ないようにやりたいんで、僕は。(今日の試合は)いい感じにやれたと思います」と前を向く。

 U-17代表での立ち位置は「まだまだっすよ。全然です」と苦笑していたが、先を行くライバルたちを「絶対抜きます」。代表入りが発表された際、反響はとても大きかったという。近大附や大阪府内のライバルたち、また全国の同じような状況にいる選手たちに勇気を与えたDFは、代表活動の中で自身の目線も上げている。

「ここで終わりたくないですね。この代表で得たものっていうのはチームに反映していくっていうのは絶対やるべきことかなと思います。(目線は)上がりました。マジで。全然違います、今、目指しているところは。プロに行きたい」。フワッとしたプロ入りの夢は本気の目標に変わった。そのためには武器をより絶対的なものにすることも、課題を改善することも絶対条件。11日のBalcom BMW CUP最終日(対ウズベキスタン代表U-17戦)やチームに戻ってからの日々で成長曲線を変え、ライバルたちを追い抜いて目標に近づく。

(取材・文 吉田太郎)

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