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[MOM984]阪南大DF金子光汰(3年)_下剋上の夏物語は“下剋上の男”のV弾で完結

ゲキサカ / 2024年9月16日 8時33分

後半アディショナルタイムに決勝点を決めたDF金子光汰(3年=市立船橋高)

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[9.15 総理大臣杯決勝 阪南大2-1新潟医療福祉大 いわぎんスタジアムA]

 決着は誰もが延長戦突入を想像した後半アディショナルタイムについた。後半アディショナルタイム4分、阪南大はゴール前右の位置でFKを獲得。MF櫻井文陽(3年=阪南大高)がニアに鋭いボールを通すと、走り込んだDF金子光汰(3年=市立船橋高)が合わせて劇的弾を奪った。

 実はアディショナルタイムに入ってすぐに相手選手に怪我人が出たことで試合が止まっていた。その時に阪南大の選手たちはセットプレーの確認をしていたという。「試合中に自分のマークが軽いなと思っていた。そこでニアに速いボールを蹴ってもらって、自分が合わそうと話していました。狙い通りです」(金子)。緊張感たっぷりの好ゲームだったが、集中を切らさなかった阪南大が最後の最後で少しだけ前に出た。

 “下剋上の男”が夏物語を完結させた。まず阪南大は総理大臣杯予選の関西選手権をギリギリの6位で通過。今年から出場枠が2つ増えたことの恩恵を受けての本大会出場になっていた。ただ本大会では2回戦で関西選手権で敗れていた京都産業大にリベンジを果たすと、3回戦では優勝候補の明治大に快勝。そして準決勝、決勝と接戦をものにして、12年ぶりとなる日本一を達成した。

 そして優勝を決める決勝点を決めた金子は、千葉県の強豪・市立船橋高出身だが、当時はコンスタントに試合に出ていた選手ではなかった。大学でもプロ選手を目指して強豪校でプレーしたいと希望していたが、阪南大以外に声をかけられた大学はなかったという。

 ただ人生初めての千葉県外での生活が、金子を一回りも二回りも大きくした。心身ともに成長した金子は2年時よりトップチームでの出場機会を掴むと、夏には総理大臣杯で全国大会も経験。そして今年は欠かせない選手となって総理大臣杯に帰ってきていた。

 奇しくも決勝を戦った新潟医療福祉大(北信越1)のベンチには、高校時代の同級生で、当時キャプテンを務めたDF平良碧規(3年=市立船橋高)がいた。試合前には健闘を誓いあったという2人だが、金子は特別な意識を持って平良の姿をみていたという。

「高校の時の僕はベンチかベンチ外にいるような選手だった。あまり言い方はよくないかもしれないけど、見返せたというか。(平良は)キャプテンで華々しい高校生活を送っていたけど、今日は自分が出て、自分のゴールで勝つことができた。京産大戦へのリベンジもそうですが、本当に下剋上できたなと思っています」

 阪南大は総理大臣杯を制したことで、冬の大学選手権(インカレ)は決勝ラウンドからの出場を決めた。後期の戦いに向け、総理大臣杯優勝の勢いを持ち込みたいところだ。「今大会を見てもらっても分かる通り、爆発的な攻撃力はある。あとはそれだけ失点を減らせるかだと思います」とDFレギュラーとしての自覚を強めた様子の金子も、「優勝を目指したい」と力強く話した。

(取材・文 児玉幸洋)
●第48回総理大臣杯全日本大学トーナメント特集

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