身体操作に優れるルーキーCB熊野俊典、憧れた米子北で見せる成長力
ゲキサカ / 2024年9月18日 18時30分
素質のある1年生ストッパーは、どのような成長曲線を描くのか。中国地方の強豪、米子北高(鳥取)の最終ラインで存在感を示しているのは、DF熊野俊典(1年)だ。4強入りしたインターハイ全国大会では、1回戦から準決勝まで5試合にフル出場。プレミアリーグWESTでも、約半数の7試合に出場している。上級生に見劣りしないプレーを見せているが、ユース年代最高峰の舞台では学ぶところが多い。「インターハイの時よりは、動けるようになっていると思う。でも、まだ未熟さを感じる。このままでは、チームに貢献できない」と、少しずつハイレベルなプレーに慣れてきている中で、課題を感じ取っている。
持ち味は、対人の強さ。まだ線の細さは残っているが、180cmの体躯を巧みに操る。ジュニア時代から体のサイズは大きく、それでいて動ける選手だったため、ジュニアユースでセンターバックに固定されるまでは、あらゆるポジションを経験。小4~6の時は、GKもこなした。空中戦も得意で、中村真吾監督は「競り合う時の体の使い方は、上手」と特長を認める。
ただ、今後、身長が大幅に伸びることは想定しておらず、より高いレベルで戦うためには、身体のサイズに頼らない技術が必要だと感じている。足下の技術は、まだ課題が残る。堅守速攻のチームスタイルのため、クリアを蹴るシーンが多いが、練習では少しずつボールを持つ場面を増やしている。熊野は「入学当初は、全部ワンタッチでしかプレーしていないくらい。今は、練習では、なるべく落ち着いてボールを持って、正確にパスをつなぐように意識してやっている」と話した。
もう一つの課題は、スペースを潰すか、使われるかの相手との駆け引きだ。プレミアリーグWEST第13節の静岡学園高戦では、相手の駆け引きに翻ろうされた。ワントップの選手に背後を狙われ、トップ下の選手にはパスの引き出し、2列目からの飛び出しで最終ラインをかき乱された。人に付いていけば持ち味は発揮できるが、釣り出されてスペースを空けてしまえば、別の選手にゴールを狙われる。優先順位を間違えず、なおかつ中間ポジションで複数の攻撃に対応できるプレーをイメージしているが、体現するのは容易でない。熊野は「マークの受け渡しで苦戦した。監督からも、スペースマークの対応が悪いと言われている。理解しようとしているけど、集中力が欠けてしまうと、できなくなってしまう」と悔しがったが、プレーを進歩させるために課題を意識しながらプレーしている部分は、多く見受けられた。中村監督も「相手をわざと誘い込んでボールを奪うようなプレーが身につくかどうか」と成長を期待している。
高槻FC出身。地元・大阪府の強豪校からも誘いを受けていたが、自ら米子北の練習参加を希望したという。高校選手権などをテレビで見ているうち、チームの強さと、堅守速攻のスタイルが自分に合うと思うようになったのが理由だ。憧れたチームで早々にユニフォームを着てピッチに立てている経験を、3年生になるまでにどれだけ増やし、生かしていけるかを考えている。目標は、プロ選手。成長に対するどん欲さは、頼もしいところだ。「いち早く、世代別の日本代表に入っていきたいという気持ちはあります。レベルだけでなく、サッカーのスタイルも違うと思うし、また新しい経験ができるはず」と国際舞台への経験にも意欲を示した。貴重な経験を積み上げ、自分の力にしていく。その先に、憧れた「強い米子北」を日本一に導く絶対的な存在への進化がある。
(取材・文 平野貴也)
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