[MOM4835]山形県GK佐藤陸斗(山形ユース、1年)_失点から立て直し、PK戦で全国1勝へ導くビッグセーブ
ゲキサカ / 2024年9月21日 22時56分
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[9.21 国スポ少年男子1回戦 群馬県 1-1(PK1-3)山形県 北部グラウンドA]
山形県は、国スポの少年男子の部がU-16年代の大会へ移行してから2度目の本大会出場。初出場を果たした6年前の福井国体では埼玉県に1-2で敗れ、初戦敗退で終わっているため、選手の初戦にかける意気込みは強かった。
「前回は1回戦で負けてしまったので、今回はまず2回戦に行きたかった。そこから優勝を目指すために、みんなでハードワークしようと考えていました」。そう振り返るのは守護神を務めるGK佐藤陸斗(山形ユース、1年)。昨年は唯一の中3として東北ブロック予選に出場した経験を生かし、チームメイトを引っ張る声掛けを意識していたという。
実際、試合が始まるとチームメイトを勇気づける声掛けやプレーのコーチングを繰り出し、最後尾からチームをけん引。思い切りの良い突破からゴールを狙ったFW立石陽向(前橋育英高1年)や、左サイドで技術を発揮したMF田村裕希(前橋育英2年)の仕掛けによって押し込まれる場面が続いたが、冷静にゴール前で対処し、失点を許さない。
だが、「風が吹いていた上に、いつもとは違う天然芝で処理が難しかった」ため、前半27分にはDF裏に入れられたロングボールを上手く対応できず、立石にゴールを献上した。それでも気落ちせずに立て直し、後半は本来のプレーを続けて2点目を与えない。後半17分には、山形DF鈴木琉生(山形明正高1年)がCKから同点弾をマーク。1-1のまま前後半を終え、勝負の行方はPK戦に委ねられることになった。
秋田県と対戦した東北ブロック予選の初戦でもPK戦での勝利を経験し、自信を持っていた。迎えた相手の1本目のキックは、「相手の助走と蹴る瞬間の身体の向きを見ていた。そこから、しっかり踏み込むことを意識していた」ことが奏功し、読みを的中させてシュートストップに成功。2本目は決められてしまったが、続く3、4本のキックが枠外に逸れ、PK戦を3-1で勝利。失点のミスを打ち消す働きを見せた佐藤は「チームメイトやスタッフから“止めてやる”というパワーをもらえた。それが自信に繋がって、相手にプレッシャーをかけることができたと思う」と笑みを浮かべた。
184cmの高身長と絶対的な自信を見せるシュートストップが売りで、すでに1年生ながらトップチームに2種登録されているが、GK歴はまだ3年半ほど。小学生の頃に所属したアバンツァーレ山形SCではサイドバックやサイドハーフとしてプレーしていたが、モンテディオ山形ジュニアユース村山のセレクションを受けた際に高身長を買われ、コンバートを打診されたという。
転向初年度は基礎技術の習得に時間を割いた結果、中学2年生になるとJFAエリートプログラムU-14のメンバーに選出。中学3年生だった昨年はユースに主戦場を移し、高校生の基準を一足早く味わった。今年はU-16日本代表に選ばれているほか、度々トップチームの練習参加も経験している。
「今の憧れはモンテのトップチームで活躍している後藤雅明選手。たまにトップチームの練習参加をする時に、自分があまり良いプレーができないとアドバイスをしてもらえる。プロで活躍する選手は人間性も凄いと思うので、僕もプレーだけでなく人間性を見習っていきたいです」。そう口にする通り、新たな目標を見付け、成長速度は早まっている。2回戦以降も難敵が待ち受けるが、心身ともに成長を続ける守護神とともに山形は更なる勝ち上がりを狙っている。
PK戦で1人目をストップ
(取材・文 森田将義)
●第78回国民スポーツ大会特集
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