[国スポ少年男子]最後まで諦めない守りと鮮やかな崩し。新潟県が強豪・兵庫県を上回り、初戦突破

　そして、小林、鈴木の2トップが相手をかき回すなど、狙いとする戦いで相手を押し返すことに成功。インターハイで活躍した和食、しなやかなドリブルで攻撃を牽引した井本の両翼が係わる形で得点を重ねた。
　
　前半29分、新潟はゴール前のギャップへ入り込んだ小林に井本からのパスが通る。これを小林が右足でゴールへ流し込んで先制。兵庫は直前にCB高嶋が負傷交代し、左SB桜井優義(AIE国際高、1年)、CB天野へ急遽移行したばかりの時間帯で失点となってしまった。
前半29分、新潟県FW小林椋人(新潟U-18、1年)が先制ゴール
　新潟は後半開始直後にも正確にパスを繋いで相手を押し込むと、高橋がPAへパスを差し込む。これが右サイドから走り込んでいた和食に通り、正確な右足シュートで追加点。チャンスを確実に得点へ結びつけて2-0と突き放した。
後半1分、新潟県はMF和食陽向(帝京長岡高、1年)が追加点
　小林は「(前半終了間際に)1点取って守ろうっていう感じにはならなかったですし、もう1点取り行くぞ、次の1点が大事だぞっていう気持ちでみんなで臨んでいたので、それがうまく形になってよかったなと思います」と頷く。

　2点を追う展開となった兵庫は、16分に高田をFW正岡愛翔(神戸弘陵高、1年)へスイッチ。坂口のパスなどでDF背後を突いたほか、土井口のクロスで相手にプレッシャーをかけるが、新潟GK松浦に阻まれてしまう。逆に新潟は23分、左の井本が横パスを中央へ通すと、小林が巧みにフリック。鈴木がPAへ抜け出し、右足で3点目を決めた。

　新潟は田中、鈴木をFW山崎琉偉(新潟U-18、1年)とFW上田陸(新潟明訓高、1年)へ代えた後も連動した崩しでチャンス。一方の兵庫はミスも増えて難しいゲーム展開になっていた。だが、32分に右の川端からゴール前へパスが通り、土井口が豪快な右足シュートで追撃ゴール。新潟は高橋と井本をDF佐藤悠士(帝京長岡高、2年)とMF長谷川蒼羽(新潟U-15、中3)へ代えて試合を締めようとする。

　だが、勢いの止まらない兵庫は35分、土井口の獲得したPKを川端が決めて1点差。さらに川端、土井口を中心に決定機を作り出す。それでも、新潟が踏ん張り、3-2で試合終了。好守とリーダーシップで新潟を勝利へ導いたGK松浦は「無失点っていう目標で、バック陣と今日、試合前に約束してたんで。結果は2失点しちゃったんですけど、チーム全員で最後まで戦い続けて良かったです」と微笑んでいた。
後半35分、兵庫県はFW川端彪英(神戸U-18、1年)がPKを決めて1点差に迫るも…新潟県はGK松浦大翔(新潟U-18、1年)を中心とした堅守で初戦突破
　激戦ブロックに入った新潟だが、それを勝ち抜く力があることは確かだ。青木監督は「なかなか名の通った選手はいないかもしれません。でも、僕はやっぱここ数年、新潟のレベルは間違いなく上がってきてると思っていますし、帝京長岡をはじめですけど、他の高校、クラブも凄く頑張ってくれていると思っているので」とコメント。選手たちも過去最高成績の4位を超えて日本一を目標に掲げている。

　まずは昨年のリベンジマッチとなる福岡戦へ集中。小林は「去年福岡に負けてるので、その敵討ちっていう意味でも、まずそこに勝って、やっぱり1位狙って、新潟県の誇りを持って優勝して帰れるように頑張りたいです」。兵庫戦では終盤に集中力を欠いたところもあっただけに、引き締めて全員で2回戦突破に向かう。　

(取材・文　吉田太郎)

●第78回国民スポーツ大会特集