2か月前に流した悔し涙は忘れていない。リベンジマッチに挑む横浜FCユースMF中台翔太が劇的同点弾で引き寄せた『三ツ沢の奇跡』
ゲキサカ / 2024年9月25日 18時9分
45+1分。奇跡へのアクセルが踏み込まれる。左サイドから途中出場のMF鈴木晴弥(1年)が上げ切ったクロスを、FW前田勘太朗(2年)がヘディングでゴール右スミへ流し込む。2-3。一気に変わったスタジアムの空気感。「時間がないのはわかっていたんですけど、もちろん自分が決めようという気持ちはありました」。中台にもさらにスイッチが入る。
45+4分。DF秦樹(2年)のフィードを左サイドで前田が収めると、ペナルティエリアの中には11番だけが走り込んでいた。横浜FCユースは5枚の交代カードを切り終えた後に、接触で倒れ込んだ選手のプレー続行が難しく、この段階でピッチに立っていた人数は10人。リスク管理も必要な状況だったが、中台は冷静に勝負所を見極めていたのだ。
前田の完璧なクロスが届く。「サイドハーフだったんですけど、フォワードっぽくゴール前に飛び込みました。勘太朗がセンターバックの1個後ろにポーンと落とす形でボールをくれたので、死ぬ気で触ろうとは思って、少しコースを変える感じになって、『当たったな』という感じはありましたし、『これは入った!』という感じでした」。中台の完璧なヘディングがゴールネットへ吸い込まれる。狂喜乱舞。ベンチから次々とチームメイトが殊勲のスコアラーへ向かって走り出す。
「個人だけの問題ではないですし、仲間が繋いでくれたものに対して、自分が信じて走り込まないといけないという気持ちもありますし、仮に勘太朗のボールがあまり良くなくても、次の人が上げてくれるのを何回も待つしかないと思ったので、そこは信じ続けられたかなと思います」。
仲間を信じ、自分を信じる11番が叩き出した、2か月前の苦い思い出を払拭するような劇的な同点ゴール。ファイナルスコアは3-3。凄まじい激闘を最後まで見届けたスタンドの観衆は、タイムアップの瞬間からしばらくの間、ピッチの選手たちへ惜しみない拍手を送り続けた。
2年生だった昨シーズンからスタメン起用も多かった中台だが、最高学年になった今季は改めて結果に対する意識を高めているという。「2年生の頃はチームの一員として戦ってはいるけれど、ゴールという結果は少なかったので、今年はチームを救うことにしっかりフォーカスして、去年とは違う自分を見せようという気持ちがあります」。
ここまでプレミアで決めている4ゴールのうち、3つのゴールは勝利に結び付いている。とりわけ9月18日に行われた昌平高(埼玉)とのアウェイゲームでは、後半に貴重な決勝ゴールをマークして、勝点3の獲得に大きく貢献。この日の得点の意味を考えても、チームを救う活躍を披露してきていることは間違いない。
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