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[MOM4852]鹿児島城西DF福留大和(3年)_元FWの嗅覚、発動!攻撃的右SBがプレミア初勝利を引き寄せる値千金の逆転決勝弾!

ゲキサカ / 2024年10月1日 12時5分

 大石のヘディングは右のポストに弾かれたが、ボールがエリア内へこぼれると、“元フォワード”の研ぎ澄まされた嗅覚は、もういるべき的確なポジションを嗅ぎ取っていた。「脩斗がヘディングした瞬間に、『これは自分のところに来るかも!』と思ったら本当に来たので、飛び込むだけという感じでした。とりあえずボールだけ見て、ふかさないようにヘディングしましたね」



 目の前の無人のゴールへ頭でボールを届けると、福留はすぐさま声援を送り続けてくれたチームメイトや子どもたちが待つピッチサイドへ向かって、軽やかに駆け出していく。2-1。残された時間は10分あまり。14試合を戦って一度も奪えていない勝利が、少しずつ近付いてくる。

「自分はあまり落ち着けなかったです。もうヒヤヒヤしていて、正直『ここから1点返されたら……』とか考えていました」。福留が素直に明かした心境は、おそらくチームメイトも同じだったはず。それでも鹿児島城西の選手たちは、丁寧に、確実に、そして懸命に時間を潰していく。

 5分間のアディショナルタイムを凌ぎ切ると、タイムアップのホイッスルがようやく聞こえてくる。「嬉し過ぎましたね。最後の5分間はメッチャみんなで耐えたので、『やっと勝てた!』という実感が湧いてきました。ずっと勝てなくて、みんな応援してくれているのに悔しくて、後期のホームゲームでは絶対に勝つという気持ちだったので、本当に勝てて嬉しいです」。自ら挙げた値千金の決勝点で、とうとう手にしたプレミアリーグ初勝利。福留の表情にも歓喜と安堵の笑顔が広がった。



 前述してきたように高校入学後はフォワードを務めてきた福留だが、今シーズンは右サイドバックを主戦場に出場機会を重ねている。「もともと中学校の頃はサイドバックもフォワードもどっちもしていたので、どっちもできると思っていたんですけど、今は良い感じにできるようになってきたので、サイドバックも楽しいです」。

 とはいえ、プレミアではハイレベルなアタッカーと対峙することも多く、守備面でのアジャストも簡単ではなかったようだ。「最初の頃は守備の対応に慣れなかったんですけど、少しずつスピードにも慣れてきて、奪ってからの攻撃もスムーズにできるようになってきたので、あとは自分の課題のクロスを克服したら、もっと良いサイドバックになれると思います」。

 本人も把握しているように、目下の課題はクロスの精度。「酒井宏樹選手のクロスを真似しながらやっているんですけど、落ちるボールが蹴れないので、なかなか上手くならなくて……。もうちょっとクロスを練習したいと思います」。より相手に嫌がられるサイドバックを目指して、日々のトレーニングと向き合っていく。



 今年の3年生は、チームがカテゴリーを駆け上がっていく様子を間近で見ていた世代。それゆえにこのプレミアで戦うことの意味は、十分過ぎるほどに理解している。福留の誓った決意が頼もしい。

「先輩方が県リーグからプリンス、プリンスからプレミアまで上げてきてくれたのを見てきて、今自分たちがやれている環境がどれだけ凄い環境かもわかりますし、このプレミアリーグを何としても後輩に残してあげたいので、残りの試合も勝ってしっかり残留できるように、チーム一丸となって頑張りたいです」。

 背番号7を託された、鹿児島城西が誇る右の翼。福留大和は90分間を通して効果的に立ち振る舞えるサイドバック像をはっきりと思い描きながら、来年もこのステージで戦う権利を引き寄せるために、ひたすら右サイドを上下動し続ける。



(取材・文 土屋雅史)
●高円宮杯プレミアリーグ2024特集

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