アジア杯後に警鐘鳴らした守田英正「あれがあって今がある」最終予選で活かされた教訓

試合後、スポルティングのユニフォームを掲げるサポーターと記念撮影するMF守田英正

[10.10 W杯最終予選第3戦 日本 2-0 サウジアラビア ジッダ]

　守っては想定外の4バックやロングボールへのアジャストに苦労しながらも耐えて無失点。攻撃では先制点をアシスト。ダブルボランチの一角で先発した日本代表MF守田英正(スポルティング)が秀逸なプレーで勝ち点3に貢献した。

「僕らはミラーを期待していた」(守田)と明かしたように、事前に想定していたサウジアラビアのシステムは3バックだった。ただ、先発が発表されてアップが始まった段階ですでに「4枚で来るかもしれないとか、アンカーを置いてくるかもしれないとか選手同士で言っていて、こうしようというのも考えていた」という。

　ここで活きたのが、ベスト8で敗退したアジアカップで浮き彫りになった「1対1」の課題に対する修正だった。

「前半も後半も、相手のしたい形は作られたと思うけど最後粘ったり、後ろもがんばってスライドしたり、エアバトルとか、アジアカップの時に1対1のデュエルで負けていたところの改善は見られたと思う」。守田の言葉通り、前半28分に日本の守備陣が見せた連続シュートブロックは気持ちが見える素晴らしいプレーだった。

　グループリーグでイラクに、準々決勝でイランに屈してベスト8で敗れ去ったアジアカップ。ロングボールと空中戦で畳みかけてくる戦術に連続で屈したことを踏まえ、守田は重苦しい胸の内をあえて吐露していた。

「考えすぎてパンクというか、もっとアドバイスとか、外からこうした方がいいとか、チームとしてこういうことを徹底しようとかが欲しい」

　監督批判とも取られかねないことをあえて言葉にしたのは、自分ともチームとも真摯に向き合わないと課題を解決できないと考えたからだった。

「やっぱり、過去があって今があると思っている。監督もより話を聞いてくれるようになりましたし、アジアカップの敗戦も僕が言ったことも、あれがあって今があると思う。今後より良くなっていくと思う」。アジア最終予選前半戦の山場の一つを乗り越え、言葉に力がみなぎる。

　攻撃では前半14分の先制の場面が光った。右サイドの堂安律から出たサイドチェンジのクロスをMF三笘薫が左足ダイレクトで折り返すと、守田がゴール正面右に飛び込んで頭でスペースに落とし、MF鎌田大地が左足で蹴り込んだ。ピンボールを追うように左右に振られたサウジ守備陣は人数こそ十分足りていたが完全に無力化されていた。

　守田は「ウイングバックが高い位置を取れるとサイドの幅が広がる。相手のバックに対してスペースが開くのでそのまま入っていくスペースがある。今回はうまくいきすぎたけど、あそこに入っていくこと自体は間違いなく狙っていたし、あれが一番点を取れる」と胸を張った。

(取材・文　矢内由美子)
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