PK戦で狭山ヶ丘を振り切り3回戦進出。苦闘続くも、伝統校・武南はトレーニングと準備を大切にまた成長して次戦へ:埼玉
ゲキサカ / 2024年10月22日 18時41分
武南は後半2分にも有川がドリブルシュートを枠へ飛ばし、17分には佐藤のスルーパスから田中が決定的な左足シュート。20分には、ともに守りの中心かつビルドアップの起点となっていた杉浦陸玖(3年)と土屋愉生(3年)の両CBなどを組み替える。杉浦、佐藤、そして畑をCB海老原成琉(3年)、MF川崎悠斗(3年)、期待の1年生ドリブラーMF渡辺悠へ3枚替え。攻守に落ち着いていた右SB今平啓太(1年)をCB、土屋を左SB、田中をボランチへ移行するなど、大きくポジションを変えて攻め直した。
武南の1年生DF今平啓太は右SB、CBとして安定したプレー
一方、MF浅見來輝(2年)らが献身的に走る狭山ヶ丘は26分、田村の左CKからファーの右SB山口暖人(3年)がニアポスト直撃のヘッド。この後、武南はDF背後を狙う川崎が連続でシュートへ持ち込み、応援団と一体になって戦う狭山ヶ丘も相手ボールを引っ掛けると細田陸(3年)やMF草野大和主将(3年)が人数をかけたカウンター攻撃を繰り出して会場を沸かせていた。
カウンターから狭山ヶ丘DF細田陸が一気に抜け出す
武南は後半40+1分、有川のラストパスから小山が左足シュートを放つも枠右。延長前半3分には、川崎の左足シュートが左隅のコースを捉えた。だが、狭山ヶ丘GK小島が指先で触れるビッグセーブ。武南は計21本のシュートを放ったが、疲れもあってかボールを失うシーンも増えて得点を奪えなかった。ただし、けが人や足を攣らせる選手が出た狭山ヶ丘に1点を許さず。0-0のまま延長後半を終え、試合はPK戦決着となった。
武南FW大熊來瑠がDFを剥がして前へ
PK戦は先攻・狭山ヶ丘1人目のシュートが左ポストを直撃。また、3人目を武南のゲーム主将GK村上拓夢(3年)が右へ跳んでストップする。一方の武南は大熊、有川、土屋が決めると、最後は海老原が決めて勝利。勝利の瞬間、涙を見せていた村上は「安心の涙なんですけど、チームのみんなに感謝しているのと、自分たちはもっと上のレベル目指しているんで、狭山ヶ丘の人たちのためにも、ここを土台にして次も勝って、(準々決勝以降の)スタジアム、もっと上を目指して頑張っていきたいです」と力を込めた。
PK戦、狭山ヶ丘の1人目のシュートがポストを叩き、武南GK村上拓夢がガッツポーズPK戦3人目、武南K村上拓夢が右へ跳んでストップ
内野監督は、「PKの対策もちゃんとしてきたし、細かいところはまだ全然話にならないところがあったりするところもあるけども、でも、こうやって1つ1つ、この短い期間で成長していけばいいかなっていう風には思います。『普段の練習だ』って、(選手にも)話しましたけれど、やっぱトレーニングで解決するってことは大切だから。試合が来たら『やろうぜ』じゃなくて、やっぱ準備っていうのが大切なので」とコメント。内野監督と同学年で、前・浦和北高監督の古市元喜コーチが今年からスタッフに加わり、意見交換しながらチーム作りを進めてきた。また、出た課題から目を背けず、次戦まで一週間、準備していく。
村上は「今回、失点はなかったんで、守備の面はこのまま継続していって、攻撃の面ではクロスボール、接点がちゃんと合う人がいなかったんで合わせられるようにやっていくのと、やり切れないところが課題なんで。攻撃の厚みを持ってできるように練習に1日1日取り組んでいきたいです」。苦しいシーズンだったが、自分たちが取り組んできたことに「みんな自信を持っている」(村上)という。苦闘も糧に、一つ一つ積み重ねながら伝統校・武南は勝ち上がる。
狭山ヶ丘の好守に苦しめられたが、武南が3回戦進出。殊勲のGK村上の目には涙も
(取材・文 吉田太郎)
●第103回全国高校サッカー選手権特集
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