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[MOM4873]東京実GK海老澤光(3年)_絶対的な自信を持って挑んだ「11メートルの1対1」で初めて流した嬉し涙。2本のPKストップで守護神が東京4強を引き寄せる!

ゲキサカ / 2024年10月29日 8時12分

 PK戦の先攻は大成。1人目のキックは速いボールで左へ。「『強いのが来る』と思っていたので、『そこまでコースに来ないかな』と考えていたら、思ったより速いボールが来て、反応できなかった感じでした」。海老澤は中央にとどまったまま、軌道を見送る形になる。

 東京実は1人目が失敗し、1-2で迎えた大成の3人目。守護神は思考を巡らせる。「1本目を正面にいて止められなかった時に、『ああ、これはやめた方がいいかな』と思ったんですけど、感覚とはちょっと違う何かを感じて、『何となく来るかな』と思いました」。キックは中央。動かなかった海老澤は冷静にボールを弾き出す。



「『真ん中もあるぞ』とはGKコーチから言われていて、私も『見て止める瞬間もちゃんと作れ』とは言っていたので、そこで駆け引きしたんだと思います。でも、あとはエビの力ですよ」(森監督)「今まで真ん中で止めたことはなかったので、『当たって良かったな』という感じです」(海老澤)。間違いなく五感は研ぎ澄まされていた。

 それ以降は全員がキックを成功させ、3-3というスコアで、大成の5人目がスポットへ向かう。1つ、深呼吸。守護神は思考を巡らせる。「軸足とかいろいろなところを見つつ、あっちに飛んだ感じです。自信はありました」。

 自分の左へ飛んできた軌道を、渾身のセーブで捻じ曲げたが、派手なガッツポーズは繰り出さない。「ドンピシャと言えばドンピシャという感じでしたね。でも、まだウチのキッカーが1人残っていたので、あまり感情を出さないようにと考えていました」。5人目のキッカーを務めるキャプテンのMF高井哲平(3年)にすべてを託す。



「エビが止めた分、プレッシャーはのしかかってきましたけど、『ここで外したら男じゃないな』と思いました」。重圧をはねのけ、勝利を決めるキックを叩き込んだ高井が、殊勲のゴールキーパーの元へと駆け寄ると、2人ともあっという間に全力でダッシュしてきた他の選手たちの輪の中に飲み込まれていく。

「ほとんどの人は大成が勝つと思っていたのはわかっていた中で、片山(智裕)先生も『勝てるぞ』と言ってくれて、結果として勝てたので満足感はあります。勝った時は勝手にポロッと涙が出てきてしまいました。たぶん嬉し涙は初めてだと思います。結構みんな泣いていましたね(笑)」。嬉し涙の守護神と、嬉し涙のチームメイト。オレンジの歓喜が夕闇に包まれたグラウンドに響き渡った。



 入学前からこのチームのことは、イメージとして持ち合わせていたという。「親同士も知り合いのゴールキーパーの人が東京実業にいて、その代も西が丘に行っている代なんですけど、その時の試合も見て『強いチームだな』とは思っていました」。今度は自分があの時に見ていた西が丘のピッチに立つ番。モチベーションはもう十分に満ちている。

「チームの雰囲気や自分のプレーにも課題はあったので、この2週間で改善しつつ、準決勝でも良いパフォーマンスができたらなと思っています。相手も帝京で強いので、楽しみですね」。

 東京実にとっては、過去4度に渡って跳ね返されている準決勝での初勝利を懸けた、正真正銘のビッグマッチ。待ち焦がれた西が丘のステージで新しい歴史を築くためには、この日に見せたような海老澤光の圧倒的なパフォーマンスが絶対に欠かせない。



(取材・文 土屋雅史)
●第103回全国高校サッカー選手権特集

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