このままでは終われない!! 延長戦で息を吹き返した創成館、鎮西学院との激戦を制して決勝進出!!:長崎
ゲキサカ / 2024年11月4日 17時46分
[11.3 選手権長崎県予選準決勝 創成館高 2-1 鎮西学院高 トランスコスモススタジアム長崎]
頼れる上級生と下級生が融合し、接戦を制して4大会ぶりの選手権出場に王手をかけた。
3日、全国高校サッカー選手権の長崎県予選準決勝が開催され、創成館高が鎮西学院高を2-1で下して17日の決勝に勝ち進んだ。
前半と後半でガラリと展開が変わるゲームとなった。序盤、創成館は自分たちのペースに引き込み、アグレッシブな姿勢で攻撃を展開。3-4-2-1の布陣でテンポ良くボールを繋ぎ、両ウイングバックが目一杯幅を取ってサイドから仕掛けていく。決定的な場面は作れずにいたが、前半25分にDF堤陽来太(2年)の右CKが相手のオウンゴールを誘い、リードを奪うことに成功した。
しかし、ここからゲームの流れが一気に変わる。徐々に巻き返されると、後半はほとんど鎮西学院のペースに。3-4-2-1の最前線に入るFW辻丸晴統(2年)の個人技に翻弄され、最終ラインが後退してしまう。
「途中から周りが見えない感じになっていた。今年のチームにはよくあって、急に飲まれてしまうケースがかなりある。後半は全く何もできず、ボール回しも幅を使えなくなって全然良くなかった」とは久留貴昭監督の言葉。相手の勢いに押されると、後半24分には左サイドからカットインした辻丸に右足でミドルシュートを放たれる。その後も大きく蹴り出すのが精一杯で、ほとんどの時間を自陣での守りに費やした。すると、終了間際の36分に守備陣が決壊する。右サイドのPA角付近で辻丸にボールを持たれると、3人が次々に外されて豪快にシュートを決められた。
まさかの展開に呆然とする選手たち。今年6月に行われた国見とのインターハイ予選3回戦では先制しながらも一気に崩れ、逆転負けを喫している。そうした過去の苦い経験が脳裏をよぎるなか、選手たちはもう一度ギアを入れ直す。キャプテンのMF田原昊仁郎(3年)は言う。
「夏に僕たちはかなりの量を走り込んできた。相手より絶対に走れる自信がある。相手より走れれば、問題ない」
積み上げてきたことを思い出し、延長戦に向かった選手たちは積極的な姿勢で再びゴールを目指した。田原も足が攣り、エースのFW浦田昊輝(3年)も満足に動けない状況だったが、自らを奮い立たせて走り続ける。触発された1年生ボランチのMF森永功喜や途中からピッチに入ったFW酒井瑞生(1年)も奮戦。勢力的に動いてゴール前の打開を試みると、延長後半5分に待望の瞬間が訪れる。堤の左クロスに反応した酒井が、「とにかく当たってくれ」という思いで身体を伸ばすと、頭の先で触った一撃はGKの頭上を超えてネットに吸い込まれた。
土壇場で勝利を手繰り寄せた創成館。2020年度に選手権初出場を果たしてからは、全国舞台に一度も勝ち上がれなかった。今季も1月の県新人戦では初戦敗退となり、インターハイ予選も3回戦で姿を消している。苦しい期間が長くなったが、夏以降に森永や酒井らが戦力として計算できるようになり、チームのベースが上がった。
準決勝の先発メンバーを見ても11人中5人が下級生。若いチームで経験値も浅いが、逆に言えば伸びしろとも言える。
「ハマれば面白いことができる」。まだまだ波もあるが、ニヤリと笑った久留監督がこの世代に懸ける期待値は大きい。一試合毎に経験を積み、力をつけてきたチームに失うものはない。長崎総科大附との決勝でも怯まずに挑み、2度目の選手権出場を勝ち取って見せる。
(取材・文 松尾祐希)
●第103回全国高校サッカー選手権特集
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