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山梨学院が2年ぶり10度目の選手権へ! 骨折離脱の主将のために…チーム一丸の結束で東海大甲府との接戦制す

ゲキサカ / 2024年11月9日 21時45分

 後半3分、東海大甲府が意地の同点ゴールを決める。GK田川のロングフィードを中根が頭で逸らして前線へ。胸で収めた水越がすかさずPA内にスルーパスを通す。反応した勝見が渾身の右足シュートをゴール左隅に決め切り、1-1と試合を振り出しに戻した。

 両チームは交代カードで試合を整えていく。山梨学院は後半11分に速水を下げ、MF阿部海翔(3年)を、15分には先制点を挙げたオノボに代えてFW柏木勇飛(3年)が入る。21分にはさらに2枚替えをし、足を攣った根岸や関塚に代えて、MF向口碧人(3年)と今大会でチーム最多4得点のFW小河原瑛太(3年)がピッチへ。東海大甲府も22分に2枚替え。千葉と同点ゴールの勝見が下がり、FW澤藤虎太朗(2年)とDF植田聖天(1年)が入った。

 交代策が的中したのは山梨学院だった。後半28分、右サイドのスローインは一度右サイドに跳ね返されるが、こぼれていったところを鈴木がダイレクトで大きくクロス。途中出場の小河原がヘディングシュートでゴールに叩き込んだ。

 再び勝ち越された東海大甲府は、終盤にかけて水越を中心にチャンスを量産する。だが、山梨学院GK板倉の好セーブにゴールを阻まれた。山梨学院がそのまま逃げ切り、2-1で夏のインターハイに続く冬の全国出場権も手にした。

 山梨学院は今大会中に大きなアクシデントに見舞われていた。キャプテンの山田逞が10月19日の3回戦・青洲戦当日の午前練習中に第5中足骨を骨折。「なんでここまで来て、こんな怪我をしないといけないんだろうと」(山田逞)。思わぬアクシデントでチームはさらに結束。年末までには回復の見込みがあるキャプテンのためにも「全国に行く」と一丸となった。

 岩永将監督は、チームを支えた山田逞、そして主将のために奮闘した選手たちに目を細める。「怪我した当日は悔しそうにしていた。だが、次の日からめちゃくちゃ明るく、チームのためにがんばっていた。キャプテンさすがだなと」。主将不在で副キャプテンの根岸、鈴木、志村がチームを支えた。先発で腕章を巻いた根岸がピッチを去ると、鈴木が着用。「3人の誰がキャプテンマークを巻いても大丈夫」(岩永監督)。途中出場の小河原がゴールを決めると、ゴールを約束していた山田逞のもとへ一直線。「有言実行できたのでよかった」(小河原)。互いのために支え合った山梨学院が10度目の県制覇を成し遂げた。

 夏のインターハイにも出場したが、山梨学院は国見高に敗れて2回戦敗退。再び全国に向かう上で岩永監督は「チームとしての戦術を落とし込む度合いは高まっている」と成長を実感する。「それぞれがポジショニングをしっかり取ること。コンビネーションで阿吽の呼吸で、というところはちょっとずつ出ている。全国でも強みにして、自分たちの形で点を取るというところが出せれば」。約2か月の準備期間の中で、指揮官が求めるのはメンバー外の選手たちの底上げ。「これからまた登録まで時間がある。その時間で競争していこうと言おうと思っている」。4年前に果たした日本一を再び取るべく、さらなるチーム力向上を狙う。

(取材・石川祐介)
●第103回全国高校サッカー選手権特集

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