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インカレ準V後に指導者キャリアへ…東海大甲府の指揮官に今季就任、30歳・大石奨悟監督が目指した選手権の舞台

ゲキサカ / 2024年11月9日 22時58分

大石奨悟監督

[11.9 選手権山梨県予選決勝 山梨学院高 2-1 東海大甲府高 JITス]

 39年ぶりの選手権まであと一歩だったが、その壁は破れなかった。東海大甲府高は35年ぶりの決勝進出も、山梨学院高に敗戦。今季就任の大石奨悟監督は「もちろんピンチもたくさん作られたが、こちらもゴールに迫るシーン、チャンスは作れた。勝てたゲームだった」と悔しさをにじませた。

 準々決勝で帝京三高をPK戦の末に破り、準決勝では日本航空高に勝利。今大会ここまで無失点と堅実な戦い方を身に着けた東海大甲府は、35年ぶりの決勝進出を果たした。1984、85年大会以来となる3度目の選手権に王手をかけたが、全国までの壁は厚い。日本一の経験を持つ山梨学院高と接戦にもつれ込んだが1-2で敗れた。

 大石監督は今年度から指揮官に就任した。「3年生になるタイミングで監督が変わったことで、選手もおそらく色々悩んだり、壁にぶつかったりしたと思う」。一年間を戦った教え子たちを慮り、「そのなかでよくついてきてくれた。私のやりたいサッカーやチーム作りに協力をしてくれた。最後勝たせてあげたかった。申し訳ない気持ちです」と胸中を吐露した。

 指導者キャリアをスタートさせたのは大学卒業後。大学4年まではプロを目指した。東海大五高で選手権の舞台を2度経験し、日本体育大に進学。3年次は関東大学リーグ2部で奮闘し、1部昇格の4年次もコンスタントに試合に出続けた。

「J2以上でオファーがあれば続けようと思っていた。だけどJ3以下であればキッパリ辞めて指導者の道に進もうと思っていた」。もともと指導者になる考えはあり、日体大に進んだのも教員免許を取るためだった。現役最後の試合は2016年度全日本大学サッカー選手権(インカレ)決勝。35年ぶりの優勝を目指した日体大だったが、筑波大に敗れて準優勝に終わった。

 若くして指導者の道に進んだため、日体大でともに戦った現役Jリーガーはまだ多い。同期の高井和馬(松本)、高野遼(相模原)、後輩の福井光輝(町田)、ンドカ・ボニフェイス(横浜FC)、輪笠祐士(岡山)、太田修介(新潟)らの奮闘に、大石監督は「コンディションのところも大変だと思うけど、よくやっているなと思っています」と目を細める。

 大学で現役を退くと、桐蔭学園高でコーチを務めた。最初の年で14年ぶりの選手権出場という大きな経験を積みながら同校で2年過ごし、2019年から東海大甲府でコーチに就任。6年目の今季から監督に就任した。

 監督として選手権まであと一歩及ばず。それでも監督キャリア初年度から県決勝に立った経験は大きい。「この経験値と、3年生が築いてくれたベースがある。今日このゲームに出ていた、もしくは見ていた下級生が引き継いで、来年からまた強いチームを作っていけたら」。監督2年目となる来年度は全国大会出場、そして山梨県1部からのプリンス2部昇格を目指す。

(取材・文 石川祐介)
●第103回全国高校サッカー選手権特集

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