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[MOM4921]寒川MF伊藤瑛規(3年)_目に見える結果こそ残せずも…攻撃の中心として君臨した主将を指揮官は高評価

ゲキサカ / 2024年11月10日 10時21分

寒川高のキャプテンマークを託されるMF伊藤瑛規(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.9 選手権香川県予選決勝 尽誠学園高 0-1 寒川高 香川県営サッカー・ラグビー場]

 得点がなければ、アシストもなかった。MF伊藤瑛規(3年)自身、試合後「自分自身はもっとできたので、全く満足していません」と悔しさを滲ませたが、寒川高初の全国大会出場がかかった大一番で見せたプレーはとても効果的。岡田勝監督は「ガゼッタ・デロ・スポルトで言えば7.5点。8点はなかなか出ませんから」とイタリアのスポーツ紙が行なう採点に例えて、高評価を与えた。

 プレーを見れば、一目で彼が攻撃の中心選手だと分かる。「自信があるのはドリブルの導線」と口にする通り、空いたスペースにボールを運ぶプレーが上手い。フリーとなる機会が多かった前半は持ち味を発揮する格好のチャンス。中央を巧みに持ち運んでからは右サイドに展開し、MF田北海翔(3年)とのホットラインで見せ場を作った。

 前半21分には自陣から前方に展開。中へのパスは相手DFに阻まれたが、粘ってマイボールにすると伊藤がゴールを狙ったが得点には至らず。「自分が空いていたのでできるだけ運びたかった。相手を引き出して、カウンターで攻撃ができたのは良かったのですが、仕留めきれなかった部分はまだまだ甘い」と反省を口にした。

「自分たちのスタイルである堅守強攻は変えず、セットプレーからのカウンターでしっかり人数をかけて攻めようと意識しました」と振り返る後半は攻撃のギアを入れ、グループでの崩しが増えた。伊藤自身、豊富な運動量を生かし、多くの局面に顔を出すなど1試合通して攻撃の中心として君臨。目に見える結果こそ残せなかったが、彼の存在は大きかった。

 主将としてもチームを支える伊藤は愛知県出身。小学生の頃に指導を受けた監督が岡田監督と面識があり、寒川の存在を知ったという。「寒川高校のシンプルなサッカーとセットプレーのバリエーションの多さに惹かれた。応援幕にもあるように最後は人間性という部分にも惹かれた。サッカーには人間性が大きく出ると思うので、人間性が成長できる部活だなと思って寒川を選びました」。

 1年生からAチームでコンスタントに出場機会を得たが、これまでは県大会でもなかなか上位に食い込めず、「全国に出て歴史を変えるために寒川へと来た」伊藤にとっては満足のいかない日々が続いていた。それでも、諦めない。「1年生の時から“どうしていこう”、“それでは駄目だ”と言い続けてきた。自分も成長しながら一緒に成長していくというのを意識してきた」という取り組みが、高校最後の選手権という舞台でようやく実った。

 チームの歴史を変えるという入学時の目標は達成できたが、伊藤はまだ満足していない。「新チームが発足して最初に掲げた目標は日本一なので、香川県を突破したのは通過点に過ぎない。気持ちを切り替えて、全国の強豪ではないうちがどれだけやれるかをしっかり見せたい」。そう意気込む通り、更なる上を目指している。

(取材・文 森田将義)
●第103回全国高校サッカー選手権特集

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