[MOM4926]近大和歌山MF松林優(3年)_周囲の声掛けで持ち直した背番号10…2度目の選手権の舞台での躍動を誓う
ゲキサカ / 2024年11月11日 16時53分
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.10 選手権和歌山県予選決勝 近大和歌山高 2-1初芝橋本高 紀三井寺公園陸上競技場]
「私のハンドから始まった試合でした」
試合後にそう恭しく話したのは、近大和歌山高の10番を背負うMF松林優(3年)。開始早々、初芝橋本高にPKを献上したシーンだ。「先制点を取りに行くことにこだわっていた」(藪真啓監督)だけに、キックオフからわずか3分での失点は、チームとして手痛かった。
ビハインドから入った試合を振り返って、キャプテンのMF佐久間瑛介(3年)は、「序盤はみんな気落ちして、生きている感じがしなかった」と話していた。中でも、松林が攻守ともにチームを牽引してくれると信頼を寄せているからこそ、「優が落ち込んでいる様子だったので、一番声をかけた」という。
自分が幸先の良くないスタートを切るきっかけを作ったとなれば、罪悪感もあるだろう。松林は、「冷静ではあったと思うけれど、正直(気分は)落ちていた」と振り返っている。「(佐久間から)『優、切り替えろ』と言われたけれど、さすがにすぐに切り替えるのは難しかった。(声をかけ続けられたことで)徐々に、もう失うものはないから自分のプレーをしようと思えるようになった」。
そうして、少しずつ持ち直した松林は、持ち味であるテンポの良いドリブルを生かし、相手陣内でチャンスを作るようになる。この日は得点やアシストこそなかったが、近大和歌山の勝ち越しゴールに繋がったCKは、裏へ抜け出した松林がボールを収め、シュートを放ったところから獲得したものだった。
松林は、1年生の頃からAチームで試合に出場し、経験を重ねてきた。2大会前に近大和歌山が全国大会に臨んだ際にも、1年生の中では唯一スタメン入りし、フル出場を果たしている。選手権の舞台は「重圧がすごくて、立っている感じがしない」ことを知っている、数少ないメンバーでもある。
この日は自分のミスをきっかけに苦しい展開になったが、「チームのみんなが支えてくれ、取り返してくれた」。その感謝の気持ちは、全国の舞台をすでに知っているからこそ「自分が先陣を切って戦い、攻撃も守備も引っ張っていく」ことで返したい。
(取材・文 前田カオリ)
●第103回全国高校サッカー選手権特集
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