明秀日立FW竹花龍生が取り組んできた形でリベンジ弾!! 誰よりも涙したエース「泣いた理由を変えられた」
ゲキサカ / 2024年11月12日 19時28分
[11.10 選手権茨城県予選 鹿島学園 0-2 明秀日立 カシマ]
タイムアップの笛が鳴り、80分間の戦いが幕を閉じる。誰よりも涙を流したのは勝利した明秀日立高の主将FW竹花龍生(3年=JFC FUTURO)だった。
遡ること5か月前、明秀日立は高校総体(インターハイ)2連覇を目指していた。しかし6月16日の県予選決勝で鹿島学園高に0-2で敗れ、結果は予選敗退。12本のシュートを記録しながらも無得点に終わり、最多タイの3本のシュートを放った竹花は試合後、溢れる感情を抑えることができなかった。
この敗戦後、明秀日立は「ゴール前に注力」(萬場努監督)してシュート練習や対人メニューを増加。その中で指揮官は竹花に対し、得意とする強烈な右足のシュートがあるからこそ逆足のクオリティもあげるように求めていた。
「左足のシュートを増やしていかないと個人としての成長はないし、プレーの幅も広がっていかないよという話をもらっていた。そういった話を謙虚に捉えて普段の練習や自主練で左足のシュートを練習してきた」(竹花)
迎えた選手権の県予選決勝は鹿島学園とのリベンジマッチになった。1点リードの後半12分、ペナルティエリア内左の竹花にボールが繋がる。竹花は中にカットインして右足を振りかぶった。ただ選択したのは「(相手を)2枚引き連れてかわす余裕があった」とキックフェイント。相手DFを手玉に取って切り返すと、左足のシュートでゴールネットを揺らした。取り組んできた形での得点に「嬉しいという感情が一番でした」と喜びを爆発させた。
また、このゴールには試合中に感じた悔しさも込められていた。先制点を決めたMF柴田健成(3年=ACミランSS佐倉Jrユース)は1年生の頃から共にトップチームで戦ってきた戦友だ。「1点目を柴田が取って悔しいなと思っていた」という負けん気は試合後のフラッシュインタビューでも話すほどで、一方の柴田も「竹花が点を取ったら自分も取りたい」と話す関係性。切磋琢磨してきた仲間の得点で熱量が増す中で、待望のゴールとなった。
明秀日立は2点のリードを守り抜き、2-0の勝利で2年連続の選手権出場を決めた。試合終了の瞬間に突っ伏した竹花はしばらく涙が止まらなかった。
「今日は全校応援で学校が動いてくれて、出られない3年生の声援も自分のところに届きました。そういった人の思いを背負って夏も戦ったつもりだったんですけど、夏は結果が報われなかった。今日も泣きましたけど、泣いた理由を変えられた、嬉し涙にできたのは本当に良かったです」
竹花は今季、10番を背負いながらキャプテンも担当している。「2つの責任を抱えている中でそういったプレッシャーと闘っていかないと個人の成長はない。プレッシャーと隣り合わせでプレーをしていくことが自分の成長に繋がっていると感じている」といい、そういった決意は県リーグ1部で得点ランキングトップタイに位置していることにも表れている。この日の大舞台での得点で自信も深まったようだ。
「誰が活躍しても一緒に喜びたいですし、その中心にいるのが自分でもありたい」。チームを牽引するエースは最後の冬に向けて「多くの責任や重圧がある中で、2度目になる小さい頃から夢見た舞台で3年生と1分1秒でも長くプレーするためにこの1か月間良い準備をしていきたいです」と意気込んだ。
(取材・文 加藤直岐)
●第103回全国高校サッカー選手権特集
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