[MOM4942]那覇西FW玉寄一星(3年)_“盟友”とのホットラインも開通!! 「去年の悔しさをぶつけた」男が決勝の舞台で2発!!
ゲキサカ / 2024年12月12日 13時56分
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.9 選手権沖縄県予選決勝 那覇西高 4-1 宜野湾高 タピック県総ひやごんスタジアム]
あのときの悔しさは拭えない。那覇西高FW玉寄一星(3年)は責任を背負いながら一年間を戦ってきた。
昨年の県決勝で名護高と対峙し、スコアレスのまま延長戦までもつれるも決着つかず。迎えたPK戦は5人目までで3対3とし、サドンデスに突入した。6人目、先攻の那覇西は途中出場の玉寄が立つ。左太ももから下まで痛々しいテーピングを巻いた状態で渾身の力で蹴るも、ボールはクロスバーの上。直後、名護の6人目を務めたGK松瀬真之介が決めた瞬間、玉寄は膝から崩れ落ちた。彼自身が抱える悔恨の念を超える戦いはここから始まった。
チーム屈指の脚力を誇り、周りもそれを生かそうとDFラインの背後へボールを供給。一瞬でギアが上がるスピードが自分の武器であることも自覚しているからこそ、彼が立つ右サイドから数多くのチャンスが生まれた。そしてゴールへ結びつける優先順位を即座に判断し、味方のゴールをお膳立て。準決勝までの4試合で28ゴールを叩き上げたチームの功績に玉寄のアシストは欠かせなかった。ただ、自ら決めたゴールは2回戦の鹿島朝日高戦(○6-0)での1得点のみ。「もっと貪欲にゴールを狙わないといけないというのは自分自身わかっているけれど、飛び出すタイミングが遅れ、自分がシュートを打つ優先順位がそこまで高くないのが今の課題」と玉寄は話す。
アシストには絡むもゴールを決めることができない状況に救いの手を差し伸べたのが、同級生のMF屋比久愛都(3年)である。中学時代はFC琉球ジュニアユースでともに汗をかき、阿吽の呼吸を築いてきたものの、玉寄が引っ越したことで一時コンビ解消。しかし、那覇西で再会を果たすと1年生のときから二人は右のポジションでパス交換を繰り出し、コミュニケーションを育んできた。去年の決勝はベンチ入りするも出場機会はなく、途中出場の玉寄がGKとの一対一に挑むも阻まれた姿を見て「自分だったら」という考えも生まれた。
そしてその思いを温めながら今日に至り、二人のホットラインは結実する。1-0で迎えた前半16分。アタッキングエリア中央付近で屋比久が受けた瞬間、玉寄は「絶対に来る」と直感。絶妙なコースとスピードで屋比久が繰り出したスルーパスは、オフサイドラインのギリギリを飛び出した玉寄の右足に吸い付き、一気にGKと一対一。冷静に股下を抜き、ゴールネットを揺さぶった。右手の人差し指を屋比久に向けて喜びを共有した玉寄は、3人目の動きでもたらした先取点を含めて決勝の舞台で2ゴールを記録。「去年の悔しさをボールにぶつけました」と、貪欲な自分を見つめ直した玉寄は「サッカーを通じて良い仲間と出会え、先輩たちや保護者の方々からの温かい言葉に励まされました。あらためてここでサッカーをやって良かったなって思えたし、次こそ勝たないとという強い思いでいたので優勝できて良かったです」と話した。
卒業後は専門学校へ進学するとのこと。最後まで悔いは残したくないという思いと沖縄の代表という看板を背負い、「沖縄のチームも全国で勝てるんだという姿を後輩や子どもたちにも見せられるように爪痕を残したい」と、右足に魂を込めた玉寄は未来に思いを馳せる。
(取材・文 仲本兼進)
●第103回全国高校サッカー選手権特集
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