[MOM4938]大分鶴崎MF志賀杏陸(3年)_プレー面に加えてリーダーとしても変化を見せた主将…努力を続けて手にした守備力でキーマン封じ!!
ゲキサカ / 2024年11月17日 23時19分
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.17 選手権大分県予選決勝 大分鶴崎高 1-0 大分高 レゾナックドーム]
14年ぶりの選手権出場をかけた大一番。大分鶴崎高の首藤謙二監督が「誰か一人でもいなかったら、やられている」と振り返った通り、ピッチに立った全員の奮闘によって勝利をつかみ取ったが、中でも印象的だったのは主将を務めたMF志賀杏陸(3年)のプレーだった。
元々は足元の技術とサッカーIQが売りで、昨年はトップ下でプレーしたが、今年の春からはよりボールが捌きやすいアンカーにコンバート。相手のプレッシャーがかかりにくい分、以前よりもパスは出しやすくなったが、本人は守備に不安を感じていたという。守備強度を上げるため、日頃から戦う意識を高めながら筋トレをこの1年間頑張ってきた。加えて、身体の使い方を考えて守備をするようにもなった。
大分高に挑んだ決勝はそうした彼の守備力が生きた試合だ。試合の鍵となったのは大分の10番を背負うMF清水和(3年)。トップ下の捕まりづらいポジションに入り、スペースでボールを引き出す清水に自由を与えると苦しい展開となる。相手のエースを封じるため、志賀は常に監視を続け、長いボールが入るとCBが競ったこぼれ球のカバーリング役を担った。
「競り合ったところに志賀がカバーするのがうちの強み」と口にするのは首藤監督で的確な読みで落下点に素早く入り、この日は相手に決定機的な仕事をさせなかった。ボールを持ったら確実に味方へとパスを繋いで攻撃のリズムを作る動きも効果的だった。
変化はそうしたプレー面だけではない。リーダーとしての成長についてFW安東壮大(3年)はこう話す。「元々キャプテンぽいタイプではなかったけど、しっかりキャプテンらしくみんなに注意すべきところは注意し、盛り上げることもできる。とても良いキャプテンです」。
「以前の自分は鞭がなくて、飴しかなかった」と振り返る通り、大人しい性格もあって、チームメイトにきつい指摘ができなかったが、準々決勝で敗れたインターハイ後に意識が変化。「周りが自分を信頼してくれていたし、言わなければいけない立場だった。歴代のキャプテンにも相談して、自分がやらなければいけないと覚悟を決めて、総体後からはコーチングの量が増えました」。
主将が飴と鞭の使い分けができるようになってからチームの雰囲気は変わったのは確か。「言い始めてから、まず練習の質が上がりました。1日1日の練習強度も高くなって、チームとしても力が上がった」(志賀)。志賀のキャプテンとしての成長が、14年ぶりの選手権出場に与えた影響は決して小さくないだろう。
中学時代は大分U-15でプレーした志賀は、大分鶴崎のパスサッカーに憧れて進学を決意した。大分県民としての誇りもある。「県勢は初戦突破できていない現実がある。自分たちまずは初戦突破を目指して一日でも長くこのチーム、この仲間とサッカーをできるように自分たちらしいサッカーがしたい。それに大分の中学生は県外に出る子が多いので、全国でもやれるぞというところを見せたい。鶴高に入ってきてもらって、強い鶴高が続くように自分たちが背中で見せたい」。そう話す通り、全国での活躍が近未来の大分鶴崎に繋がっていくと信じている。
(取材・文 森田将義)
●第103回全国高校サッカー選手権特集
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