大迫を呼び、宮代の決勝弾につないだ武藤嘉紀「その回数が一回であれ、それを仕留めて勝ったことに大きな意味がある」
ゲキサカ / 2024年11月23日 18時55分
[11.23 天皇杯決勝 G大阪 0-1 神戸 国立]
前線の攻撃をつなげ、決勝点の起点を作った。ヴィッセル神戸MF武藤嘉紀は後半19分、PA内の突破からシュート。相手に阻まれたが、こぼれ球をFW宮代大聖が決め切り、優勝を決めた。
拮抗した展開が続くなか、やってきた決定機を逃さずにゴールにつなげた。後半19分、神戸はGK前川黛也のロングボールをFW佐々木大樹が落とし、FW大迫勇也が収めた。その瞬間、武藤は大きな声で大迫に自らの位置を伝えた。「サコくんのすごいところは声をかけた瞬間に、後ろの自分の位置を把握してくれて、そこで動きを変えられるところ」(武藤)。PA左にボールが入り、武藤が反応した。
PA左でフリーの武藤には多くの選択肢があった。まず狙ったのはゴールだ。「でもGKの出だしが良くて、コースがあまりなかった。とにかく誰かいてくれと、こぼれたらいいなぐらいの感じで打った」。武藤の左足シュートは相手DFのブロックに遭った。だが、武藤の予測通りに味方が詰める。宮代が右足で押し込み、ゴールネットを揺らした。
対するガンバ大阪はチームをけん引し続けてきた宇佐美貴史が直前に負傷。大黒柱の不在という状況も、武藤は「全員が戦う集団だった」と警戒していた。「逆にやりづらさがあった」と振り返るなか、仕留め切った一発。「自分たちもあまりよかったとは言えないけど、どういう内容であれ、得点を取って勝つということにフォーカスしていた。その回数が一回であれ、それを仕留めて勝ったことに大きな意味がある」。勝者となった今、その価値を改めて噛みしめていた。
天皇杯を制した神戸だが、今シーズンは2冠のチャンスが残る。J1リーグで首位を走っており、次節・柏レイソル戦にも連覇が決まる可能性もある。「あとはリーグタイトルを取る。それに尽きる。もちろんとてもうれしかった。だけどみんな見ての通り、あんまり羽目を外さず、喜びすぎず、もう次の試合を見据えている」。そう語る武藤自身も気を引き締める。喜びもつかの間、すでにリーグ2連覇を狙う顔つきに戻っていた。
(取材・文 石川祐介)
●第104回天皇杯特集
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