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大迫敬介への挑戦、中村草太との共闘…広島内定ヒル袈依廉が期待に胸を「轟」かす

ゲキサカ / 2024年12月12日 22時9分

広島に入団するGKヒル袈依廉

 色紙には力強く「轟」という字が記されていた。「車が3台ほしいじゃないですよ」。GKヒル袈依廉(4年=鹿児島城西高)はそう言って茶目っ気たっぷりに笑った。「この身長もあるし、存在感のところはすべてを轟かせたい。小さいころから自分の中で大事にしてきた言葉です」。194cmのビッグユニットが、早稲田の杜を巣立つ。

 高い壁があることは当然理解して進む。ワンポジションのGKにあって、サンフレッチェ広島には日本代表GK大迫敬介が君臨している。今季のJ1でフルタイム出場を果たすと、ベストイレブン投票ではGK部門で断トツの153票を獲得。これは選手全体でも、MVPの武藤嘉紀(神戸)の166票に次ぐ数字だった。

 またヒルと大迫は同郷・鹿児島県出身で、3歳年上の大迫は常に憧れていた存在だった。「入団が内定してからも2回練習に参加させてもらって、細かいところでアドバイスをもらった。プレーを見たりすると、まだまだだなと思い知らせてくれる存在です」。大学のリーグが終わった11月末には1週間ほど帯同。優勝争いの張りつめた空気の中で過ごした時間は、より貴重なものとなったようだ。

 同期入団となる明治大FW中村草太との共闘も誓う。初めて話したのは意外にも、今年の広島のキャンプに一緒に参加した時だったという。「そのあとのデンソー(カップチャレンジ)で、僕が関東選抜Aに追加招集されたので一緒になった。色んなチームに練習参加したという話を聞いたので、その時は正直、広島で一緒にできるとは思っていなかったです」。今ではLINEで入寮日を確認し合うなど、プロ生活のスタートに向けた意識を高め合っている。

 鹿児島で外国語指導助手(ALT)などをしているオーストラリア人の父と、日本人の母を持つヒル。父親は「日本語も、何なら鹿児島弁もバリバリ」だというが、基本的に会話は英語で育てられてきた。「単語は高校時代より一段と忘れている感じはあります」と苦笑いするが、外国籍選手とのコミュニケーションなどの部分では、大きなアドバンテージとなりそうだ。「チャンスは少ないと思うけど、ものにできるように頑張りたい」。期待に胸を轟かすプロサッカー選手としての生活が始まる。

(取材・文 児玉幸洋)
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