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高校選手権の快進撃が受験に影響、一時は浪人も考えた…広島大GK小林航大「よりサッカーを楽しみたいと思うようになった」

ゲキサカ / 2024年12月14日 12時23分

広島大のゴールマウスを守ったGK小林航大

[12.13 インカレ強化ラウンド第1節 富士大2-2広島大 IFAフットボールセンター Aピッチ]

 チームメイトの慰めの声がより胸に突き刺さった。前半で2点のリードを奪うなど、理想的に試合を進めた広島大(中国)だったが、後半は一転して富士大(東北2)の猛攻を受けてしまう。そしてGK小林航大(1年=名古屋高)のリズムも徐々に崩れていく。

 後半23分の失点の場面では前に出たところでボールを触れずにクロスを上げられてしまった。同40分にはボールを奪われてあわやPKという場面を作られると、同アディショナルタイムにあったPKを決められて同点に追いつかれてしまう。直後には屈辱の選手交代となってしまった。

 グループステージの初戦後とは思えないほど、ベンチ前で泣き崩れる小林の姿があった。「油断というか、一瞬の気のゆるみが出てしまった。自分の中で上手く切り替えることができていなかった」。少し冷静さを取り戻していた小林だが、反省の言葉ばかりを口にしていた。

 ちょうど1年前、人生で感じたことのないほどの注目を浴びた。愛知県代表の名古屋高の一員として全国高校サッカー選手権に出場すると、初戦から注目校の日章学園高を相手にしたPK戦勝利に貢献。3回戦の岡山学芸館高戦でもPKストップをみせる大活躍で、初の8強入りへと導いた。また大会直前に捻挫した影響で痛み止めを打ちながら強行出場していたエピソードも感動を呼んだ。

 進学校としても注目された同校。3年生部員の多くは大会後に大学受験を控えており、小林も国立大の理系学部を志望していることを明かしていた。しかし選手権の“思わぬ”快進撃は、受験に大きな影響があったという。大学入学共通テストを受験したが、理系科目で思ったほどの点数を取ることができなかった。前期で第一志望の受験に失敗して、一時は浪人も考えたほどだったという。

 それでも逆に文系科目の点数が取れていたことで、後期試験で“文転”。広島大学教育学部への合格を勝ち取った。そして高校選手権の期間中も「大学でサッカーを続けるかどうか迷っている」と話していた小林だが、全国レベルの実力を誇る広島大に入学したことで、続ける動機もできた。「全国大会に出場できたことで、よりサッカーを楽しみたいと思うようになった。大学も広大に入れたので、チームの力になりたいと思って続けることにしました」。

 1年目からさすがにコンスタントにトップチームで出場機会を得ることはできなかったが、上泉康樹監督は大舞台の強さを買っているようだ。夏の総理大臣杯では1回戦の鹿屋体育大戦でベンチ入りさせると、延長戦の終了間際にPK要員として投入。勝利に導く活躍で期待に応えると、普段のリーグ戦での先発は1試合だけだったというが、大事なインカレ初戦の予選ラウンド・桐蔭横浜大戦でも先発に大抜擢していた。

 ただその桐蔭横浜大戦は3失点を喫すると、前半だけで途中交代。そして強化ラウンドの初戦でも力不足を痛感させられてしまった。「(桐蔭戦は)全国の敵の強さだったり、自分も歯が立たなかったと悔しさだけが残った試合でした。きょうも自分のミスから引き分けにされてしまった。次の試合にもし出られるなら、次こそ無失点で抑えたいと思います」。

 昨年までの僚友の活躍も自身を奮い立たせてくれている。昨年度の名古屋高で10番をつけてプレーしたMF原康介は、高校選手権の活躍もあって北海道コンサドーレ札幌にスカウトされると、3月にJ1初ゴールを決めるなど、早々と結果を残した。「自分も将来はプロになって同じ舞台で戦いたい」。夢が目標に変わってきている。ただまずは再び全国区の活躍を目指すことで、大学サッカー界での存在感をみせていく。

(取材・文 児玉幸洋)
●第73回全日本大学選手権(インカレ)特集

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