[MOM1027]関西大MF川島功奨(4年)_背番号32の鹿児島内定MFが大学最後にみせた意地
ゲキサカ / 2024年12月20日 22時14分
[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.18 インカレ決勝ラウンドDグループ 常葉大0-1関西大 岐阜メモリアルセンター長良川メドウ]
グループリーグ突破へのわずかな可能性を持って最終節の日を迎えていた関西大(関西2)だが、試合前に日本大が東洋大に勝利したことでその可能性は消滅していた。「勝っても次に繋げられない」。MF川島功奨(4年=京都U-18)も「複雑な気持ちはあった」と素直に話した。
しかしこのまま3連敗で大学生としての大会を去るわけにはいかない。そして「後輩たちに何かを示さないといけない」と気持ちを強くして臨んだ。すると後半開始から投入された直後のプレーだった。後半4分、関大はカウンターから左サイドを持ちあがると、DF吉村瑠晟(3年=神戸弘陵高)のクロスボールに川島が競り勝つ。「立ち上がりから左サイドを吉村が突破していたので、クロスに入っていたら一本くらいチャンスが来るだろうと思っていた」。その一本目のチャンスを確実にものにした。
感謝の思いを持ってピッチに立っていた。川島は10月9日のリーグ立命館大戦で右ひじを脱臼。当初は全治3~4か月と診断され、インカレの出場は絶望視されていた。しかし周囲の懸命の支えもあって順調な回復をみせた。「可動域や筋力も戻ってきている。100%ではないけど、サッカーができるまでは戻っていた」。30人の正規登録には間に合わなかったが、前田雅文監督も追加登録でインカレのメンバーに入れることを決めた。
大学サッカーはこの日で終わったが、サッカー人生はまだまだ続く。卒業後は鹿児島ユナイテッドFCでプロキャリアをスタートさせることが決まっている。「(天皇杯の)浦和戦をみて興味を持ってもらったみたい。オファーは4月くらいにもらっていて、ほかのチームのオファーもあったので大臣杯まで引っ張ろうかと思ったけど、スカウトの永畑祐樹さんが熱心に誘ってくれて、サポーターも熱くて、入るならこのチームしかないと思った。早めに決めて特別指定で少しでも力になれればと思っていました」。
しかし現実は甘くはなかった。特別指定選手としてのデビューも視野に入れて夏場にチームに帯同したが、チーム成績の不調もあって、チャンスが巡ってくることはなかった。ただ全く収穫がないわけではなかった。「もともとはテクニカルなチームだったと思うけど、J2でタフなチームと戦うことでスタイルが変わっていった。その変化は感じていたし、自分がもっとタフになって鹿児島を引っ張っていかないといけないと思った。もっと怖いチームになるという変化の途中だと思うので、そこに取り残されないようにしたい」。来季は“2年目”のつもりで頑張りたいと鼻息を荒くする。
そしていつか、高校までを過ごした京都と対戦する“夢”も描く。「言い方は悪いかもしれないけど、自分を評価してくれなかったクラブ。いらないと言われた身でもある。だから対戦したら勝ちたいなと思いますし、あわよくば自分が点を取って、京都サポーターに帰ってきてほしいと言われるような活躍がしたい」。またこれから別々の道に進むDF木邨優人(4年=京都U-18/栃木SC内定)や、立命館大MF中野瑠馬(4年=京都U-18/京都内定)とのピッチでの再会も楽しみにする。「いずれJリーグで対戦したいし、負けないように自分も頑張りたい。瑠馬にもサンガにも負けたくない」。楽しみはこれからも大きく広がっている。
(取材・文 児玉幸洋)
●第73回全日本大学選手権(インカレ)特集
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