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インカレ初先発で明大を封印…新潟医福大2年生MF向井俊貴、奇縁のグリスタは「悔しい思い出もうれしい思い出も」

ゲキサカ / 2024年12月27日 19時50分

新潟医療福祉大MF向井俊貴(2年)

[12.25 インカレ準決勝 明治大 0-0(PK3-4) 新潟医療福祉大 栃木県グリーンスタジアム]

 出場停止となった主将のために、今大会初先発で王者を封じた。新潟医療福祉大MF向井俊貴(2年=佐野日大高)は延長戦も含めた120分を躍動。「キャプテンのアキくん(秋元琉星)が準々決勝で累積になってしまった。もしかしたらと自分の可能性が出てきたけど、しっかり練習から取り組んで役割を果たせた」と振り返った。

 守備の要であり、チームの精神的支柱でもある主将のDF秋元琉星(4年=青森山田高/群馬内定)は準々決勝で今大会2度目の警告を受けた。4バックの一角を失った新潟医療福祉大は、全国ではアンカーで起用している本職CB細井響(3年=習志野高)を最終ラインに組み込み、リーグ戦でも一度しかスタメン入りしていなかった向井をアンカーに抜擢した。

「競り合いや球際を求められていた」(向井)。明治大FW島野怜(3年=仙台育英高)とのマッチアップに苦戦しながらも対応。「(大塚)天翔くんや(細井)響くんの2CBや、(松本)天夢くんや(高足)龍くんがサポートしてくれて自分ががんばれた」。任されたミッションに徹し、足元でのパス捌きは意識せず。相手と競り合うことだけを強く意識した。

 接戦は延長戦までもつれ込んだが、向井ら選手たちの集中力は継続。両チームに得点が生まれることはなく、PK戦で決着がつけれられることになった。両チーム2人目まで成功させ、先攻の明治大3人目のシュートをGK桃井玲(4年=桐光学園高)がセーブ。勢いに乗りたいところで、後攻の新潟医福大3人目のキッカーとして向井が立った。

「練習では自分なりにうまくPKを蹴っていて自信はあった」。そう向井が語るとおり、冷静に狙いすまして放った左足シュートだったが、ボールはゴール右ポストを直撃。「4年生の引退がかかった試合で、2年生で3番目に蹴らせてもらっている立場。外してしまって申し訳ない気持ちでいっぱいだった」。だが、直後には守護神の桃井が2連続PKセーブでチームを助ける。新潟医福大は5人目の細井が決め切り、4-3で決勝進出を果たした。

 準決勝で戦い、そして28日の決勝の舞台にもなる栃木グリーンスタジアムは、佐野日大高出身の向井にとって思い出の場所だ。自らもピッチに立った2年次は選手権県予選の決勝で矢板中央高に0-1で敗戦。3年次は選手権出場を叶えた。「悔しい思い出もうれしい思い出もたくさんあった。そういう色々な思いを背負ってプレーしていたので、絶対勝とうと思っていた」。かつて苦楽を味わった場所が、奇しくもインカレ決勝の舞台となった。

 また、中学時代に所属していた大宮アルディージャU15のチームメイトとも再会を果たした。対する明大にはDF小澤晴樹(2年=大宮U18)とDF多久島良紀(2年=青森山田高)が所属。向井は「絶対に負けられない」と闘志を燃やした。そして、決勝で相まみえる東洋大にも同じく元チームメイトのFW高橋輝(2年=大宮U18)がいる。自身の成長を示す戦いも続いていく。

 向井の活躍を、キャプテンの秋元も試合後に称賛していた。「すばらしくて、(自分が)決勝に出られないかもしれないパフォーマンスだった」(秋元)。自身は出場停止も解けたが、危機感ものぞかせる。「練習でしっかりアピールして決勝に挑みたい」と後輩の成長に目を細めた。秋元は勝ったらごはんを奢ると約束。向井にリクエストはなく、「アキくんとご飯行ければうれしい」と楽しみにしていた。

(取材・文 石川祐介)
●第73回全日本大学選手権(インカレ)特集

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