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[MOM4973]龍谷富山GK吉田啓剛(2年)_勝敗決する5番目のPKキッカーに抜擢…元GK指揮官の「高い要求」に応え続ける守護神

ゲキサカ / 2024年12月31日 10時59分

龍谷富山の正GKを任されている吉田啓剛(2年)(写真協力『高校サッカー年鑑』)

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[12.29 選手権1回戦 龍谷富山高 0-0(PK5-4) 那覇西高 西が丘]

 スコアレスのままPK戦にもつれた、龍谷富山高(富山)対那覇西高(沖縄)。「PKが得意」だという龍谷富山のGK吉田啓剛(2年)は、自信を持って大舞台でのPK戦に臨んでいた。

 那覇西のキッカーが3人目まで連続で成功させるも、GK吉田は1人目、3人目とシュートの方向に飛んでいた。那覇西4人目のシュートはゴールポストに嫌われる形で外したが、吉田の読みは合っていた。

 そして、4-4で迎えた後攻の5人目。決めれば勝敗が決する場面でキッカーを務めたのは、GKの吉田だった。吉田をキッカーに起用した背景には、DF宮林渉(3年)の退場があった。宮林を欠く中で、濱辺哲監督はPK戦のゲームプランの変更を余儀なくされたという。「本当は1番目に退場した宮林が蹴るっていうのがうちのチームの今までの流れ」(濱辺監督)だったが、1番手を主将のFW横山旺世(3年)が務め、5番手には本来6番手以降であるGK吉田が起用された。「本当であれば蹴らせたくない、止めるほうに専念させたい」という思いがありながらも、「PKがうまい」点を買ってキッカーに指名。背番号1のシュートがゴールネットを揺らした瞬間、龍谷富山の選手権初勝利が決まった。

 2回戦に駒を進めたものの、「内容は完敗」と濱辺監督は素直に認める。全国の舞台での手応えとして、指揮官は「粘り強い守備」を挙げる。那覇西に押し込まれながらも、ベタ引きするのではなく高いラインを敷くなかで、GK吉田は「ラインが高いので、背後のケアをしっかり」と濱辺監督から指示を受けていたという。PA外まで守備範囲を広げるGK吉田は、後半ATという時間帯でもDFラインの背後に通されたスルーパスに対して勇気を持って飛び出し、体を張ってチャンスを防いだ。

 濱辺監督は、現役時代に習志野高、東京学芸大、アローズ北陸(現富山)でGKとしてプレー。同じポジションということもあって、「要求が高いと思うので、相当嫌われてんじゃないですか(笑)」と吉田の奮起に期するところが大きいようだ。「『これぐらいやれよ』という感覚で接してしまうので。そういう意味では多分伸びたんじゃないですかね、すごく。責任感もついてきた」と成長に目をほそめる。

 富山市立呉羽中の3年時には全中に出場した経験を持つ吉田は「とても熱く教えられて、特にメンタルのところが自分は弱いので、このピッチに立てるメンタルを作ってもらいました」と指揮官への感謝を明かす。

 公式記録では80分間で那覇西に許したシュートは10本、決定的な場面もあったが、GK吉田の好セーブやチームが体を張った守備で最後までゴールを割らせなかった。「最後まで粘り強く、無失点で試合を終わらせたい」。2年生GKは、松山北高(愛媛)との2回戦に向けて力を込めた。
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(取材・文 奥山典幸)
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