「前橋育英を倒す」と誓って入学、夏に右ひざ大怪我、選手権初戦対戦決まり懸命のリハビリ…前橋FC出身、米子北MF柴野惺が間に合わせた選手権出場
ゲキサカ / 2024年12月30日 12時46分
[12.29 高校選手権1回戦 前橋育英2-0米子北 駒沢]
感謝の思いで一歩一歩を踏みしめた。米子北高(鳥取)の背番号8、MF柴野惺(3年)が約5か月ぶりの試合出場を果たした。
悲劇が襲ったのは今年夏のインターハイ準決勝。8月2日に行った神村学園戦に先発した柴野だったが、同試合で右ひざ半月板を損傷。9月20日にメスを入れ、全治6か月の診断を受けた。
しかしリハビリが順調に進んだことで、「選手権に間に合うかもしれない」という希望が見えてきた。そして届いた吉報。11月の組み合わせ抽選会で主将FW鈴木颯人(3年)が引き当てたのは、前橋育英高(群馬)との初戦だった。
実は鈴木と柴野は群馬県出身。実質的な前橋育英の下部組織である前橋FC出身で、この世代は2人を含めた4人の選手が米子北に越境入学していた。「自分たちは前橋育英に行けなくて、絶対に倒そうという思いで来ていた」。よりリハビリに集中する活力になったという。
そして迎えた高校選手権初戦。先発のピッチに立った柴野は、「怪我明けを言い訳にしたくない」と現状できる限界のプレーを出し続けた。本来は20分間の出場時間制限があったというが、「アドレナリンが出た」。気が付けば、後半28分まで出場していた。
「2人は最後メンバー外になってしまったけど、4人で声を掛け合いながら、楽しくやってこれた。監督やスタッフには感謝しかない。怪我も重なった3年間だったけど、最後にピッチに立てて、応援される中でプレーできた。いい3年間だったと思います」
卒業後は関東に戻って大学サッカーの強豪である駒澤大に進学する。まずは怪我を治して万全になることが先決だが、前橋育英の選手の多くが関東の強豪大学に進学を予定していることで、「今回負けてしまったので、大学でやり返したい」と早くも闘志を燃やしている。「個人でレベルアップして、いずれは海外でプレーできる選手になりたい」と語る18歳の夢物語は、まだまだ序章に過ぎない。
(取材・文 児玉幸洋)
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