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[MOM4996]前橋育英GK藤原優希(3年)_キャプテンから託された腕章の意味。タイガー軍団の守護神が執念のPKストップ!

ゲキサカ / 2024年12月31日 23時55分

 先攻の前橋育英は8人目のMF竹ノ谷優駕(2年)が成功。藤原は勝負のゴールマウスに向かう。全神経を視界に集中させて、情報を得る。「蹴る前にキッカーが右向きだったというか、右に蹴ろうとしているように感じたんです」。腹は決まった。後悔のないように、思い切って、飛ぶ。「右だ!」

 両手に確かな感触を残して、ボールはピッチの中に転がっていく。自分に向かってチームメイトたちが全速力で駆け寄ってくる。その中にかけがえのない“ライバル”の姿を捉えると、もう我慢できなかった。

「GK陣のみんなの代表で出ているのに、1本も止められずに負けるのだけは絶対に嫌だったので、最後に自分が止めて勝ちが決まって、西野が抱きついてきてくれた時に、涙が出てきました」。藤原も、3年間にわたって苦楽をともにしてきたGK西野心陽(3年)も、気付けば抱き合って泣いていた。

 8本目にしてようやく読みが当たり、完璧に弾き出したシュートストップ。「サドンデスまで自分はさわれもしなくて、サドンデスに入ってからも味方が全員決めてくれたのに、『自分は1本も止められずに、このまま終わるのかな』と思ったんですけど、最後に1本止めて、勝てて、感情が出ましたね」。最後の最後でタイガー軍団の正守護神は、勝利の主役の座を鮮やかにさらっていった。



 練習は重ねてきていた。インターハイの群馬県予選。前橋育英は準決勝で共愛学園高と対峙し、PK戦の末に無念の敗退を突き付けられる。藤原は相手のキックを1本は止めたものの、結果的にチームを勝利に導けなかった自分が、ただただ不甲斐なかった。

「インハイで負けた時は自分が大事なところで止められなくて、『PK戦はキーパーが止めないと勝てない』ということを改めて感じたので、そこは自分のせいで負けたぐらいの責任を持ちながら、こういうトーナメントでPK戦になった時に絶対後悔しないように、PKは重ねて練習してきました」。

 山田監督も「藤原はもともとPKは得意な方なので、PK戦で勝つチャンスは絶対あるなと思っていました」と信頼感を口にする。半年前の屈辱をバネに重ねた努力は、極限の緊張感の中で自分を裏切らなかったということだろう。 

 昨年のチームが突破できなかった、2回戦の壁は何とか超えた。ここからも当然シビアな戦いが続いていくが、もう1つ1つ目の前の試合に、全力を注ぎ込むだけだ。藤原の決意が力強く響く。「去年のチームを超えることがまずは第一の目標で、そこを超えたからには、もうあとは上まで突き進むだけなので、このまま国立を目指して頑張ります」。

 チームの代表として、GK陣の代表として、ゴールマウスに立つ自分が、次も必ず勝利を引き寄せてやる。託された想いを背負える、前橋育英のエネルギッシュな門番。藤原優希がいよいよ乗ってきた。

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