痛恨のPK失敗も頼れるチームメイトに救われたキャプテンの涙。前橋育英MF石井陽は仲間と築き上げてきた信頼を胸に最後の1試合まで戦い抜く
ゲキサカ / 2025年1月1日 15時49分
決められれば敗退が決まる後攻・愛工大名電5人目のキックは、枠の右へ外れていく。絶体絶命の窮地から生き返った前橋育英は6人目、7人目、8人目と成功。そして、愛工大名電8人目のキックを藤原が横っ飛びで弾き出すと、気付けば石井も仲間と一緒に泣きながら走り出していた。
「陽から『オマエ、頼むよ』と言われて、キャプテンマークをもらいました。陽は去年から試合に出ていて、今年も先頭に立ってみんなのリーダーとして頑張ってくれていましたし、『外してマジでゴメン』と言っていたので、絶対に『自分が止めて勝ってやろう』と思っていました」(藤原)
チーム伝統のエースナンバー14番を背負い、キャプテンの重責も担ってきた今シーズン。「一時期は自分がみんなにいろいろと言い過ぎてしまって、それでチームの雰囲気が崩れてしまったり、逆に緩くなりすぎてしまった部分があって、そういうことを夏に経験して、自分のキャプテンのありかたとか、チームとしてどう戦っていきたいかとか、お互いにどこを求め合うのかとかが整理されたところもあります」と振り返るように、どうリーダーシップを発揮するかに腐心しながら、何とかここまで走り続けてきた。
さらに今は、“再会”を果たした旧友の想いも乗っかっている。初戦で対峙した米子北高(鳥取)にはFW鈴木颯人(3年)、MF柴野惺(3年)、GK佐々木唯翔(3年)、FW小林彪雅(3年)と4人の前橋FC時代のチームメイトが在籍しており、今回の試合では鈴木と柴野とピッチ上で向かい合うことになった。
結果は2-0で前橋育英が勝利。「米子北戦が終わった後も、彼らからは『本当に優勝してくれ』とも言われていましたし、米子北さんが持っていた千羽鶴も僕らが託されたので、それを国立や決勝まで持っていくのは自分たちの義務だと思っていますし、彼らの想いまで背負ってやらなきゃいけないなと、試合前から思っていました」。中学時代をともに過ごしたかつての仲間たちに託された想いを、裏切るわけにはいかない。そんな感情もこの日の試合後の涙には詰まっていた。
頼れる守護神への感謝は尽きない。「本当に『ありがとう』としか言えないですよね。自分のミスを救ってくれて、チームも助けてくれたので、次の試合では藤原にシュートストップさせないぐらい、自分が体を張ってシュートも打たせないようにして、助けたいなと思います」。少しだけ笑顔を取り戻したキャプテンは、改めて次の試合へと意識を向け直す。
「今日は自分たちの甘さが出た試合でしたけど、勝ったことをポジティブに捉えて次に繋げるしかないので、今日出たことはしっかり振り返って、自分たちで受け止めて、ここからは勝ち進むだけだと思います。もうここからは上がっていくことだけ考えて、やっていきたいです」。
名誉挽回のチャンスはみんなが作ってくれた。次こそは自分の活躍で、絶対に勝利を手繰り寄せてみせる。今シーズンの前橋育英を牽引してきた不動のキャプテン。石井陽は3年間でチームメイトと築き上げてきた確かな信頼を胸に、勝負の3回戦も全力で戦い抜く。
(取材・文 土屋雅史)
●第103回全国高校サッカー選手権特集▶部活生の足元を支える新素材!カンガルーレザーからSILKYWRAPへ
-
- 1
- 2
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:やり切った(愛工大名電高・蒲地陽汰)
ゲキサカ / 2025年1月2日 8時17分
-
1か月前から想定→PK2本ストップも…奇跡まであと一歩 2人の“守護神”がつないだバトン
FOOTBALL ZONE / 2025年1月1日 9時30分
-
[MOM4996]前橋育英GK藤原優希(3年)_キャプテンから託された腕章の意味。タイガー軍団の守護神が執念のPKストップ!
ゲキサカ / 2024年12月31日 23時55分
-
前橋育英は土壇場で同点弾献上もPK戦で薄氷の勝利。愛工大名電は勝利目前での敗退も会場を魅了する躍動感を披露
ゲキサカ / 2024年12月31日 22時17分
-
前橋育英が2大会ぶりの16強! PK戦で主将マークを託された守護神が8人目を阻止
スポニチアネックス / 2024年12月31日 19時0分
ランキング
-
1松山英樹が開幕戦V、PGA新記録「-35」樹立 衝撃の4日間でアジア人最多11勝目「記録出せて嬉しい」
THE ANSWER / 2025年1月6日 10時7分
-
2イチロー氏が野球界に次々“苦言”…「本当にやめてほしい」 鳴らした警鐘「価値が変わる」
Full-Count / 2025年1月5日 20時54分
-
3中国人インフルエンサー、箱根駅伝「走行妨害」に批判止まず...ファン激怒「捕まえてでも静止させるべきだった」
J-CASTニュース / 2025年1月6日 12時14分
-
4190億円の恩恵…大谷翔平は「引き寄せる」 ド軍に逸材加入で「韓国人観光客増えるかも」
Full-Count / 2025年1月6日 8時10分
-
5一度は引退も世界一へ大ジャンプ 同志社大ダブルダッチチーム6人、再挑戦の舞台で躍動
産経ニュース / 2025年1月6日 11時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください