進化形“トルメンタ”を準備も披露できず…静岡学園に敗れた高川学園「あと1、2本でもCKがあったら面白かった」

3回戦敗退となり肩を落とす高川学園高(山口)

[1.2 選手権3回戦 高川学園高 0-2 静岡学園高 駒場]

　“トルメンタ”の進化形を準備していたという。しかし、高川学園高(山口)に、そのチャンスは訪れないまま、無情にも敗退を告げる試合終了のホイッスルが吹かれた。

　12月31日の2回戦青森山田戦で、4人が手をつないで回る“トルメンタ”から先制点を記録した高川学園。勢いそのままに前回王者を2-1で下し、静岡学園との3回戦を迎えた。

「初戦の青森山田さんとはプレスの掛け方を変化させた」(江本孝監督)と静岡学園戦用に変更も施した。「ハマった部分はある」。しかし、「奪った後のパスや技術のところで今日は精彩を欠いてしまった」となかなか敵陣までボールを運べず、静岡学園に押し込まれる展開が続いた。

　静岡学園は右のDF野田裕人(3年)、左のDF鵜澤浬(3年)と両サイドバックも果敢に攻撃参加。中央までポジションを取って組み立てに参加してきたことで、高川学園は的を絞り切れず。江本監督も「寄せてもダメだったら他の人にパスをして、そこから作り直してくる。たくさんの攻撃の起点があり、どこからでも作れるのは素晴らしかった」と舌を巻いた。

　後半4分に先制点を献上すると、反撃を試みるもゴールは遠い。前半のシュート数は前半1本、後半2本の計3本。CKは前半1本、後半はゼロに抑え込まれると、終了間際の40分にダメ押しゴールを奪われ、0-2の完封負けを喫した。

　指揮官が悔やんだのは、劣勢に立たされた後半にCKのチャンスがなかったことだ。「今日もちょっと面白いことをやろうとしていた」と語ったように、なんと“トルメンタ”の進化形を準備していたという。

「昨日も選手たちが、先発メンバーもサブメンバーも一緒になってセットプレーの話し合いをしていた。“トルメンタ”の進化形もやりたかったので、あと1本、2本、CKがあったら面白かったかなと思う。1年をかけて、いろいろ考えながらやっていたので、もう少し披露させてあげたかった」

　10番を背負うFW大森風牙(2年)は「用意していたので、見せたかった。どういうものかは今は言えません」と話す。お披露目するのはいつになるかは分からず、進化形“トルメンタ”はひとまずベールに包まれることとなった。

　静岡学園に敗れて3回戦敗退となったが、前回王者・青森山田を下したことで大きなサプライズを提供した。この日、高校サッカーの終わりを迎えた3年生に対し、江本監督は「今回の景色はてっぺんからは見れなかったけど、良い景色も見れたはずなので、大学に行くにしても、就職するにしても糧にしてほしい」とメッセージを贈った。

(取材・文　折戸岳彦)
●第103回全国高校サッカー選手権特集▶部活生の足元を支える新素材!カンガルーレザーからSILKYWRAPへ