PK献上のクラスメイト東風谷を「戦犯にさせない」…上田西GK牧野長太朗が開始直後のPKストップ!
ゲキサカ / 2025年1月3日 15時45分
[1.2 選手権3回戦 矢板中央0-2上田西 フクアリ]
絶対に止めてやる。上田西高の守護神・牧野長太朗(3年)はPKを与えてしまったDF東風谷崇太(3年)にそう背中で語りかけるようにして、ゴールライン上に立った。そして牧野はPKを左に飛んでストップ。いきなりの大仕事をやってのけた。
東風谷とは学校のクラスメイトでもあり、普段から特に仲がいい選手の一人だったという。そんな友人が開始2分で許したミス。PKを決められれば流れは一気に相手に傾くところだった。「緑川(周助)と松本悠真もバックラインは一緒のクラスが多い。普段の仲の良さが繋がりを生んでいると思います」。
そして牧野のPKストップから10分足らずで東風谷は先制点を記録した。「あいつを戦犯にさせないというところで、自分が止めて、あいつが点を決めてヒーローになってくれた。そこはあいつが持っているところだと思います」。“あいつ”との3年間の絆が恐縮された日になった。
また相手10番のFW堀内凰希(3年)は小学校時代の仲間で、組み合わせが決まってからは「お前からは取られない」「絶対に取る」というやり取りを交わしていたという。試合中も堀内がPK獲得した際には「めちゃめちゃ自分の方を見てニヤニヤしてきた」。ロングスローの場面では邪魔をしてきたという。
「でもこうやって全国の大舞台で対戦できたことはとても嬉しかった。試合前も話をしたし、あいつはゲキサカに載ったりして有名だったので、中学からめちゃくちゃ成長したなと思って怖かったけど、点を決められなかったのでよかった」。古くから知る“あいつ”の想いも背負って、次なる戦いである準々決勝の流通経済大柏高戦に向かう。
上田西旋風再び。長野県勢の準々決勝進出は、上田西は2017年にベスト4に進出して以来となる。現3年生は当時小学校5年生で、多くの選手がテレビでその快進撃を見て、上田西に憧れを持った世代だという。かくいう牧野もその一人。「この高校かっこいいなと思っていたら、中3の時に声をかけてもらって『マジか』みたいな(笑)。ベスト4の時は小山(智仁)君が止めていて、上田西の名前をあそこまで広めた。自分も先輩を目標に頑張りたい」。同じ舞台に立つまであと1勝。ここまで来たら憧れに肩を並べてみせる。
(取材・文 児玉幸洋)
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