[MOM5009]明秀日立GK重松陽(3年)_経験豊富な守護神が通算4度目となる全国大会のPK戦で躍動!1年前のこの日にさらわれた主役の座を堂々と奪い返す!
ゲキサカ / 2025年1月2日 23時16分
「あのキッカーに対しては絶対にこっちだと思っていました」。重松が飛んだのは自分の右側。そこへ向かってきたボールを、ドンピシャのタイミングで弾き出す。「ベンチ外の選手が動いてくれて分析してくれたので、凄く感謝しています」。仲間の想いを背負った守護神のビッグセーブ。明秀日立が一歩前に出る。
5人目のキャプテン、FW竹花龍生(3年)のキックがゴールネットを揺らすと、いったんはチームメイトたちと一緒に喜んだあと、重松は以前からよく知る2人の元へと向かっていた。「田所選手や大橋選手は小学校時代から共に戦ってきましたし、特に田所選手はトレセン活動を通して一緒にやらせてもらう機会も多くて、そういう自分が知っているような選手が相手にいることもあって、負けたくないなと思っていました」。
帝京のディフェンスリーダー田所莉旺(3年)と守護神の大橋藍(3年)と握手を交わす。この舞台で負けることの悔しさを誰よりも知っているからこそ、彼らに声を掛けずにはいられなかった。
応援団へのあいさつを終えると、ジワジワと喜びが湧き上がってくる。「凄く嬉しかったですね。『絶対に止めてやりたい』という想いが強かった中で、ああいう形でPKを止められたので、シンプルに嬉しかったです」。みんなで乗り越えた『1月2日のPK戦』。その主役をさらった重松の表情に、大きな笑顔の花が咲いた。
昨夏の日本一を味わったからこそ、このチームの中で果たすべき役割がある。重松はこの1年を掛けて自分が意識し続けてきたことを、こう明かしてくれた。
「全国で上位に食い込めるような基準というのは何となく理解できますし、それを伝えるのが自分の役割だと思いますね。自分が経験してきたことは、試合に出ている選手だけではなくて、トップチーム全体に伝えられる部分は多いと思いますし、実際に1年間を通して伝えてきたつもりではあります。その上で個人としては『誰が見てもあの選手は良い選手だよね』というような見方をされるのが一番いいと思っていて、そういうキーパーを目指しています」。
ここから先は明秀日立が描いてきたストーリーを、新たな章へと突入させるためのチャレンジ。プレッシャーがないわけではないが、どちらかと言えばワクワクの方が勝っている。もう、やるしかない。
「ゲームが終わった後もみんなに言いましたけど、次が本当に大事だなと。学校の歴史のこともありますけど、まずは自分たちの気持ちが一番大事だと思うので、目の前の試合に負けたくないという想いを表現することで、結果も付いてくるのかなと。ベスト8とかベスト4とかそういうことは気にせず、目の前の相手に負けちゃいけないということを意識したいと思います」。
明秀日立に多くの歓喜をもたらしてきた、確かな実力を備える正守護神。数々の得難い経験を纏ってきた3年間の集大成。重松陽の存在感は、ここに来ても日に日に増し続けている。
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(取材・文 土屋雅史)
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