3度の決定機逸もPK戦5人目のキッカーで勝利を決める一撃!明秀日立FW竹花龍生「ゴールは次に取ってあるので、待っていてください」
ゲキサカ / 2025年1月3日 16時8分
1つ深呼吸。いつもの助走から左スミに蹴り込んだボールは、GKの逆を突いてゴールネットへ突き刺さる。「もう何も考えられなくて、とりあえず応援団の方に行きました」。チームメイトたちが次々と駆け寄ってくる。最後の最後でキャプテンとしての仕事を果たした竹花は、等々力の空に向かって咆哮した。
託されたキャプテンという役割とは、1年を掛けて向き合ってきた。「やることのタスクが多くて、その中でも自分と向き合って結果を残していかないといけないというところに難しさを感じていますけど、そこは自分にプレッシャーを掛けながらやっています」。
昨年度のインターハイでは、ジョーカー起用という立ち位置で日本一を味わっているだけに、今年はチームの中で求められる役割も少なくない。ゲームメイクに関わり、ボールも収め、フィニッシュシーンにも顔を出し、10番としての責任感も背負い続けてきた。夏過ぎに竹花が話していた言葉を思い出す。
「今年は前で身体を張ったり、トップ下でパサーになったり、シュートを打ったりと、自分でも去年よりはプレーの幅が広がったなと感じています。でも、ゴール前でのクオリティとか怖さを出せる選手はもっと質が高いと思うので、そういう繊細なところももっと突き詰めてやっていかないといけないのかなと思っています。まあ、大変ですね」。
それでも、自分がやるしかない。のしかかる重圧を跳ねのけて、全国切符を掴み取った選手権予選の決勝では涙を流すシーンも。3年間をともにしてきたみんなで戦う最後の大会。そう簡単に終わらせるわけにはいかない。
神奈川出身の竹花にとって、初戦を戦ったニッパツ三ツ沢球技場は小さいころから憧れていた舞台。実際にそのピッチに立ったからこそ、改めて思い直したことがあるという。
「小さいころの夢が叶って、自分としても本当に嬉しいですし、昔の自分みたいに夢を持って見に来てくれている子たちが、今度は自分を見てサッカー選手になりたいとか、高校選手権に出たいとか、少しでもそういう想いを持ってくれたら自分としては嬉しいです」。
次の準々決勝を超えれば、明秀日立にとって初めての選手権ベスト4を引き寄せると同時に、国立競技場で戦う権利も手にすることになる。強気なキャプテンは、少しだけニヤリと笑いながら、こう言い切った。「ゴールは次に取ってあるので、待っていてください」。
ユニフォームへ“2つ目の星”を刻み込むための、大いなるチャレンジ。明秀日立のキャプテンで、エースで、10番。竹花龍生の真価は、まだまだこんなものではない。
(取材・文 土屋雅史)
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