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世にも数奇な結末…静岡学園DF野田裕人は内定先・川崎F本拠地でPK失敗「冷静に蹴ったつもりだった。だけど…」

ゲキサカ / 2025年1月4日 19時10分

静岡学園高DF野田裕人(3年)は来季内定先の本拠地でPKを失敗した

[1.4 選手権準々決勝 静岡学園高 0-0(PK4-5) 東福岡高 U等々力]

 静岡学園高DF野田裕人(3年)は来季加入する川崎フロンターレの本拠地・Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsuで選手権終了。PK戦で4人目のキッカーを務めたが、失敗してしまった。「自分が外して負けた。まずは率直に申し訳ない気持ちがある。だけど、これを力に変えて、自分の活躍やもがいている姿を仲間に見せて返すしかない。自分自身ここからがんばっていくしかない」と悔しさをにじませた。

 静岡学園は東福岡高を相手に、ボールを支配する時間は長かった。だが、相手の割り切った戦い方に苦戦し、ゴールが遠い。「後半は特に押し込む時間が長かった。でもそこで決め切れなかったというのが最後まで課題」(野田)。PK戦に入った段階で勝敗をイーブンに持ち込ませてしまった。

 PK戦は3人目までともに成功した。先攻の静岡学園は4人目のキッカーとして野田がキックポイントに立った。「冷静に入ったつもりではいたけど……」。野田の蹴ったボールはゴール上に大きく外れた。

「冷静に蹴ったつもりだった。だけどどこかで気持ちが高ぶっていた部分もあるかもしれない。GKが大きく見えたのかもしれない。それはわからない。生活の部分からも出たのかも」。

 後攻・東福岡の5人目キッカーも失敗し、一時は追いついた。しかし静岡学園は6人目も失敗してしまい、後攻6人目で決め切った東福岡が国立競技場への切符を手にした。

 怪我に苦しんだ高校サッカーだった。野田は昨年の選手権後に股関節を負傷し、約半年間も離脱した。夏には中足骨を骨折して3か月以上ピッチから離れた。今大会も途中出場が続き、3回戦でようやく先発入り。「仲間のプレーをグラウンドの外から見ることが多かった。本当に自分一人の力だけではここまで来れなかった」。仲間への思いがあふれ出す。

 だからこそ、後悔は強い。「間違いなく本当にチームメイトには感謝しきれない。チームメイトがここに連れてきてくれたにも関わらず、正直自分は何もできなかった。何も返せなかった」。野田は自身のふがいなさを噛みしめていた。

 来季からのホームでまさかの敗戦。川崎Fのサポーターからの応援にうれしくもあり、その恩を返せなかった悔しさもある。「もしかしたらフロンターレのサポーターの方々も来てくださったかもしれない。こういう悔しい姿を見せてしまったので、印象を変えるではないけど、自分はこんなもんじゃないというところを、このピッチで見せるためにがんばっていきたい」。敗戦直後で落ち着かない気持ちのなか、来季への意気込みを口にする。プロとしての振る舞いを見せていた。

 Jリーグで活躍することがきっと恩返しになる。野田は悔しさを飲み込みながら「終わってしまったことなので、切り替えなければいけない」と語る。「このまま下を向き続けても仲間に対して失礼だと思う。自分が前を向いて、これを活力にする姿でチームメイトを元気づけられたら」。プロの舞台で、そしてUvanceとどろきスタジアム by Fujitsuで、笑顔を見せることを誓った。

(取材・文 石川祐介)
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