選手権では2大会、全8試合にスタメン出場の堀越が誇る羅針盤。MF渡辺隼大が持ち続けた「出ていない選手の分まで戦う責任と覚悟」
ゲキサカ / 2025年1月6日 8時5分
「今年も本当に順風満帆なわけではなかったですし、苦しい時も多かったですけど、そういう時こそ(竹内)利樹人やアキ(森章博)がチームを引っ張ってくれて、全国ベスト8というのは、1年間自分たちがやってきたことを信じ続けられたからこそ得られた結果だと思います。去年の結果以上のものを自分たちの代で出したかったですけど、3年間みんなとサッカーができて良かったなと思います」。
中学時代は決していつもゲームに出ているような選手ではなかった。だからこそ、勝負の懸かった痺れる舞台でボールを蹴ることの意味や価値は、そのステージが上がれば上がるほど、より痛感してきたという。
自分たちの代で、堀越の“立ち位置”を変えられたという手応えは、確かにある。それでも、まだ足りないこともよくわかった。「堀越高校の見られ方は本当に変わってきていると思います。でも、青森山田とか静岡学園とか、今日対戦した前橋育英もそうですけど、全国の常連校と肩を並べるには、普段の日常から質を求めてやっていかないとダメだと思うので、2年生は去年の経験と今年の経験がありますし、簡単ではないと思いますけど、来年はベスト8とベスト4を超えて、全国制覇してほしいです」。渡辺の想いは、3年生の想いは、後輩へと受け継がれていく。
ここからは、それぞれが新しい道を歩いていく。大学でもサッカーを続けるからには、より高いレベルへと到達するために、今まで以上の努力が必要なことも、渡辺ははっきりと理解している。
「本当の勝負はここからかなと。大学ではチームの結果も大事ですけど、個人としてどれだけできるか、どうやってプロへの道に近づけるかだと思うので、もちろんうまく行くことばかりではないと思いますけど、苦しい時こそ、この高校で3年間やってきたことを忘れずに、日々努力し続けたいですし、自分がプロサッカー選手になることで、堀越高校の価値をもっともっと上げられるように、これからも努力していきたいと思います」。
忘れない。この仲間たちと3年間の濃厚な時間を過ごせたことを。忘れない。あんなに多くの観衆の前で自分の全力を出し尽くせたことを。堀越を2年間にわたってチームのど真ん中で支えてきた、不動のプレーメイカー。渡辺隼大は得難い数々の経験を胸に、今度はプロサッカー選手になるための扉を、1つずつ、1つずつ、丁寧にこじ開けていく。
(取材・文 土屋雅史)
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