負傷欠場の親友のユニフォームを着こんで出場も…流経大柏MF和田哲平はわずか8分で負傷交代

松葉杖をつくMF和田哲平

[1.13 選手権決勝 前橋育英1-1(PK9-8)流経大柏 国立]

　自分が着ないで誰が着るんだ。そんな思いだったに違いない。MF和田哲平(3年)は、得点を決めて背番号12のユニフォームを掲げることを約束したーー。

　6年ぶりの決勝に進出した流通経済大柏高(千葉)だが、湘南内定の注目FW松本果成(3年)が準決勝に負った負傷の影響で欠場を余儀なくされた。

　和田と松本は「いつも一緒にアップをしたり、移動するときのバスもずっと隣」(和田)。親友の無念は誰よりも理解していた。

　ベンチスタートとなった和田だが、ハーフタイムにベンチ裏で自分のユニフォームの下に背番号12のユニフォームを着こんで戦闘準備を整えた。

「果成とは自分が点を取ったらユニフォームを掲げると約束していた」。後半18分からの出場は、並々ならぬ思いを持ってピッチに入っていた。

　しかし投入後わずか数分の出来事だった。右サイド深くでライン際を突破しようとした和田の左足に、相手の足が入ってしまった。「何とかプレーしようと思ったけど走れなかった」。

　出場時間はわずか8分間。「最後の試合で、怪我をしてチームに迷惑をかけたという意味で申し訳ないという気持ちが大きいです」。松葉杖をつきながら姿をみせた和田は、おそらく骨折ではないかと残念がった。

　ただ今大会で和田は全5試合に出場。3得点を決める結果を残した。卒業後は10番MF柚木創やDF奈須琉世、DF佐藤夢真、FW山野春太、FW粕谷悠、MF稲田斗毅、FW堀川由幹、DF富樫龍暉、DF渡邊和之らとともに、流通経済大に進学する。

　まずは怪我を治して万全にすることが先決だが、大学での更なる飛躍を誓う。「試合に出たら必ず結果を残せる選手になって帰ってきたい。守備でも攻撃でも目立つ選手になりたい」。そしていつかまたきっと。親友と同じピッチに立つ日を夢に見て、努力を続ける。

(取材・文　児玉幸洋)
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