高校選抜選考合宿中にはコンビを組んできた“ヒガシの相棒”との「ニアミス」も!東福岡DF山禄涼平が国立で感じた「チームを代表してピッチで戦う意味」
ゲキサカ / 2025年1月28日 19時26分
ただ、山禄が1本目と2本目に出場していたのに対し、大坪が登場したのは3本目。「本当は一緒にやりたかった気持ちはありますね」と山禄は試合後に、少し残念そうな表情を浮かべていた。
一方の大坪は“相棒”へとこうエールを送る。「久々と言っても2週間ぶりぐらいですけど(笑)、顔を見られたのは良かったですし、選抜に入ってほしい気持ちはあります。山禄がいたから自分も成長できたので、彼には感謝しかないですね。大学は別々になるので、また選抜とかで一緒にやれたらいいなと思っていますし、対戦するのも楽しみです」。彼らがピッチ上で巡り合う日は、きっとまたやってくることだろう。
予選から7試合にわたって無失点を続け、国立競技場までたどり着いた選手権は、充実感と悔しさを同時に突き付けられる経験となった。「自分たちが1年間平岡(道浩)先生の元でやってきた守備が注目されて、これからのヒガシにとっても良い大会にはなったと思うんですけど、やっぱり準決勝でああやって守備が崩壊したような形で終わってしまったので、最終的に悔しい大会になったかなと思います」。
8試合連続完封を目指したセミファイナルは、前橋育英高(群馬)相手に3失点を喫して敗戦。日本一には届かなかったが、山禄は大会が進むにつれて、自分たちがピッチで戦う意味をより実感していったという。
「選手権は見る景色が今までサッカーをしてきた場所とは全然違ったんですけど、それでも応援席を見たら、いつも応援してくれているみんながいるというのが自分にとっては凄く大きくて、いろいろなスタジアムで試合をやりましたけど、それが自分たちがうまく戦えた一番の要因かなと思います」。
200人を超える部員の中で、選ばれたものだけが袖を通すことを許された伝統の赤いユニフォームを纏い、みんなを代表して戦うことの重要性を、スタンドの仲間たちがよりはっきりと教えてくれた。84人の3年生全員で勝ち獲った全国3位は一生の宝物だ。
個人としても大きな飛躍を遂げた3年間だった。とりわけ最後の1年でプレミアリーグのレベルを体感し続けられたことが、自分の基準を一段階も、二段階も引き上げてくれたことに疑いの余地はない。
「プレミアにいたからここまで成長できたのは間違いないですし、この1年間は本当にレベルの高い相手と対戦できて、その中で自信を掴んできました。カバーの予測の部分のような長所も磨けましたし、逆に短所もたくさん見つかって、1年を通して個人としても、チームとしても向上できたので、プレミアリーグでやれて良かったなと思います」。
地道に培ってきた小さくない自信を胸に、この春からは法政大の門を叩く。「レベルの高い先輩がメチャクチャいるので、そういう方々ともたくさんコミュニケーションを取って、良いものを吸収していって、1年目からアグレッシブにプレーしたいですし、欲を言えば1年目から試合に絡んでいきたいと思います」。
力強い宣言のあと。少しだけ笑顔を浮かべて、こう言葉は続く。「それこそ聖央はもちろん、関東の他の大学に進む同級生と『ヒガシ対決』をしたいですし、そこでは絶対に負けたくないです」。
合宿最終日のU-17日本高校選抜と対峙したトレーニングマッチでは、1本目と2本目に起用されて好パフォーマンスを披露。首脳陣からも期待を寄せられていることが窺えた。“ヒガシの壁”から“日本高校選抜の壁”へ。山禄涼平が描く成長曲線は、まだまだ先へと逞しく伸び続けていく。
(取材・文 土屋雅史)
●第103回全国高校サッカー選手権特集
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