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地球温暖化を抑えられなければ熱中症患者が激増する?

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年5月19日 9時26分

【役に立つオモシロ医学論文】

 地球規模の気候変動は、人の健康状態にも大きな影響を及ぼす可能性があります。とりわけ、気温の上昇に伴う熱中症のリスク増加は、気候変動による差し迫った健康問題と言えましょう。

 熱中症は、倦怠(けんたい)感、頭痛、めまい、吐き気など、高温環境下で生じる健康障害の総称で、重症化すると死に至ります。また、高齢者では体温の調節機能が低下していて、若年者よりも熱中症を発症しやすいことが知られています。

 高齢化が進む日本において、気候変動に伴う熱中症のリスクの増加は、個人の健康障害だけでなく、救急医療の現場を逼迫(ひっぱく)させるなど、社会的な問題を引き起こす可能性があります。そんな中、地球の温暖化と熱中症の関連性を検討した研究論文が、環境科学の専門誌に2024年4月15日付で掲載されました。

 この研究では、地球の平均気温が2度上昇する温暖化シナリオが想定されました。東京都、大阪府、愛知県の3都府県における気象データと、熱中症で救急搬送された患者数のデータを解析し、2040年代における熱中症の患者数が見積もられています。

 解析の結果、2010年代と比較した2040年代の気温は、3都府県で約1.6度上昇しました。気温の上昇によって、人体の中心部の温度(深部体温)が、平均で0.055度上昇し、1日の発汗量は2倍に増加すると見積もられています。また、1日あたりの熱中症による救急搬送者(平均値)は、2010年代の55~66人と比べて、2040年代では105~133人と、約2倍に増加することが分かりました。

 論文著者らは「この解析結果は、熱中症に対する一般市民の意識を向上させる取り組みを含め、救急医療サービスにかかわる医療資源の適切な配分や、その管理を強調するものである」と結論しています。

(青島周一/勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰)

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