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脳梗塞で失語症となった医師が2カ月で復職できた要因はなんだったのか【正解のリハビリ、最善の介護】

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年5月22日 9時26分

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ねりま健育会病院院長の酒向正春氏(C)日刊ゲンダイ

【正解のリハビリ、最善の介護】#29

 脳梗塞で失語症が残った50代の男性医師、Cさんのお話の続きです。治療後のCさんは、言語療法や理学療法などのリハビリと自主訓練を続け、発症から13日目にリハビリ病院へ転院しました。しかし、転院先の病院で新型コロナ感染症を発症してしまい、脳梗塞の発症から16日目に感染症専門病院に転院することになりました。

 Cさんは、リハビリ病院内でコロナ感染したことは残念に思いましたが、一生懸命支えてくれる医療従事者のことを考えると怒る気にはなれませんでした。どこででも、誰にでも起こる感染だからです。幸い、新型コロナ感染症は重症にならなかったので、個室で自主リハビリ訓練を行いました。

 理学療法は座ったままこぐフィットネスバイクを30分。室内歩行は1万7000~2万5000歩を歩きながら徹底的に「考える」ことに挑みました。復職した時の診察場面を想定して、個々の担当患者が受診したらどういう方針で治療するのか、リハビリセンターに戻ったら作業療法をどう取り組み、改善結果を良くするためにどうしたらいいかなどを考え続けたのです。言語療法はプリント問題を解いたり、100マス計算を行いました。そして、10日間の隔離を経て、リハビリ病院に戻りました。

 リハビリ病院での訓練は、Cさんのペースと希望に沿って実施されました。理学療法はバイクトレーニングが中心で、心拍数140で30分間の訓練を行いました。言語療法は、言語聴覚士との会話のやりとりが中心でした。作業療法では車の運転のシミュレーションに取り組みました。歩行訓練は3万~3万5000歩を毎日行い、音楽を聴きながら、今後のことと今の回復を考えて、脳を活動させながら歩く訓練を続けました。

 リハビリ病院の入院期間は8日間だけで、自宅退院となりました。もちろん、自宅でもリハビリに積極的に取り組みました。歩行訓練は、毎日1万4000~2万歩、音楽を聴きながらとにかく考えて歩くことを続けました。趣味の自転車トレーニングは約25~60キロを1~3時間で行うと、気持ち良く感じました。水泳も取り入れて2500~4000メートルを1~2時間で泳ぎ、読書や将棋なども行い、妻と会話することを日課としました。

■リハビリを自発的に行う“患者の心がけ”

 自宅退院から23日目の月初め、Cさんは復職しました。発症から2カ月弱での復職です。Cさんの脳梗塞は重症ではありませんでしたが、Cさん自身が考え実行した“攻めのリハビリ”がなければ、復職には4カ月以上を要したかもしれません。さらに、Cさんは「仕事がリハビリ」と考え、できるだけ患者と会話することを心がけました。職員とも会話をして、気持ちを穏やかにすることを心がけ、積極的にコミュニケーションをとりました。

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