「働き方改革」で病院薬剤師が取り組むべきタスクシフト【クスリ社会を正しく暮らす】
日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年5月29日 9時26分
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【クスリ社会を正しく暮らす】
2018年に成立し、19年4月から施行されている「働き方改革関連法」。有給休暇年5日の取得義務やフレックスタイム制の導入など、身近なところで働き方の変化が生じているのではないでしょうか。
しかし、医師における働き方改革は遅れていて、ようやく24年4月から施行となりました。19年の厚労省の調査では、時間外・休日勤務について年間960時間(いわゆる過労死ライン)を男性医師の41%、女性医師も28%が超えていました。さらに時間外・休日勤務年間1920時間も男性医師の9%、女性医師の6%が超えているといった結果でした。
24年4月から、勤務医の時間外・休日労働の上限は、原則として年間960時間となるのですが、35年度末までは、救急医療などの観点からやむを得ず長時間労働となる場合は、年間1860時間まで認められます。
こうした医師の労働時間の短縮を目的として、ここ数年、薬剤師や看護師など他の医療従事者への業務のタスクシフト/シェアが図られています。たとえば、薬の副作用を強く疑う場合などに医師との間で事前に取り決めたプロトコールに沿って薬剤師が検査のオーダーを出したり、その治療薬を投与したりすることも行われ始めています。
また、手術室においても注射薬の投与量計算やその調製など、薬剤師が関わることにより、医療事故の減少や業務時間の短縮が報告されているのです。
当院でも入院患者さんの定期的な処方は薬剤師が入力しておき、それを医師がチェック・修正するといった取り組みを行っています。その業務内容については厚労省の通知に具体的に明記されていて、病院薬剤師が合法的にその職能を最大限生かすチャンスといえます。
しかし、こうした業務のタスクシフト/シェアにより、今度は病院薬剤師などの医療従事者の業務が増大してしまうことも懸念されています。これらの対策として、薬剤師以外の職員(いわゆる助手さん)の活用や、DXの推進などが考えられています。
(荒川隆之/薬剤師)
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